【最終回レポ】〜28km地点「もうやめようか?」木嶋ゆりと辻柚音『かすみがうらフルマラソン初挑戦』で手に入れたもの
■2015年4月19日 フルマラソン 10:00スタート
(場所:茨城県 土浦市)
2015年4月19日。とうとう、かすみがうらマラソン本番の日がやってきました。この三ヶ月間、奥山トレーナー指導のもと、練習に励んできたマラソン初心者のグラビアアイドル、木嶋ゆりちゃん(きじゆり)と辻柚音ちゃん。無事完走できるか不安な気持ちがあり、筆者が走るわけではないのに、前日なかなか寝付けませんでした。
脚を故障していた時期もある二人。スタート前に奥山トレーナーからテーピングをしてもらい、しっかり準備運動。
テーピングをしてもらうきじゆりちゃん
テーピングをしてもらう辻柚音ちゃん
スタート30分前の二人。って、これから今まで体験したことのない未知の領域の距離を走る事になります。
■走った事のない距離「未知の領域」に挑む2人へのアドバイス
「自分との対話があります。今までの人生が走馬灯に流れたり、今悩んでいる事が大したこと無いように思えたりとか。ポジティブに変える力がマラソンにあります。走り終えれば(自分は)こんだけキツい事をやったんだと思え、そのキツさを超えた時に1つ成長する事が出来るんじゃないのかなと。それが初マラソンの良さです。あとはやるしかないです。前半を抑えて、30kmを超えてから勝負です」(奥山トレーナー)
■練習時の最長距離は15キロ以下。「未知の領域」に挑む事について、今どんな気持ちか
「ペース配分を考えて25kmまでは行けそうな気がしています。ただ30キロから先は、ちょっとどうなるか分からないので……。30kmより先を走れるように頑張ります!」(きじゆり)
「(完走し)5時間を切るのが目標です。最初から飛ばし過ぎずペース配分していきたいです。不安とかあんまり考えすぎちゃうと走れなくなっちゃうと思っているので、マイナスな事は考えないようにしています。過去の経験上、不安になり緊張してしまうと絶対良くないので……。(未知の領域は)なんとかなります!」(辻柚音)
■スタート地点風景
ゼッケンのアルファベット順にスタート位置につくのですが、彼女たちのゼッケンアルファベットはH。正確なスタート地点からはだいぶ遠いので、そのままのタイムだと不利になってしまいます。その上、最初のうちはランナーが多過ぎて走れず、10分ほど歩くことに。なお、このロスタイム分はゴールの際に引いてタイムが出るのでご安心を。ちなみに、柚音ちゃんの目標タイムは4時間台、きじゆりちゃんの目標タイムは5時間台です。
■いよいよスタート
奥山トレーナーときじゆりちゃん、柚音ちゃん、伴走スタッフがスタートしたところで、筆者や他スタッフは車で移動。
■5km地点での初給水!
伴走スタッフからは5kmごとに二人の調子の連絡が入ります。「10km地点通過」「15km地点通過」と、連絡と写真が送られてくるたび、車内に安堵感が漂います。
■17km地点は2時間15分以内に通過する必要がある
ところが、重大なことに気付きました。なんと、17km地点は2時間15分以内に通過せねばならないのです。この時点で、二人のタイムはギリギリ。どうか17km地点を制限時間内に通過してくれ……車内でスタッフ全員祈るしかありませんでした。
■なんとか17km地点の制限時間を突破!
そして、無事、17km地点を制限時間内に通過(5分前通過)の連絡が! ほっと一安心です。しかし、その知らせと同時にきじゆりちゃんと柚音ちゃんが分かれて走り出したという情報も飛び込んできました。どうやら、きじゆりちゃんの脚が痛み始めたため、ペースダウン。柚音ちゃんが先に走って行ったようです。それからしばらくして、柚音ちゃんがハーフ地点を通過したという連絡が入りました。柚音ちゃん、順調のようです。
■辻柚音は順調にハーフ通過!
■スタッフは28km地点に移動して待機
スタッフは28km地点に移動し、二人を待ちます。待っていると、笑顔の柚音ちゃんが走ってきました。まだまだ元気でペースを落とさず走っているという柚音ちゃん。伴走スタッフの方がバテ気味なくらいです。舟橋トレーナーからメディカルチェックを受けた後、栄養補給と軽くストレッチをして、再び軽快に走って行きました。
■問題発生!きじゆりが脚を痛がっている
(右:電話でスタッフに状況を伝える奥山トレーナー)
柚音ちゃんを送り出した直後、「きじゆりが脚を痛がっています。今、歩いて向かっています」と、奥山トレーナーから連絡が……。どのような様子か詳細は分かりませんが、彼女の頑張りを認め、最悪の場合はやめさせようという結論に至りました。柚音ちゃん通過からだいぶ経って、向こうから歩いてやってくるきじゆりちゃんと奥山トレーナーの姿を発見。きじゆりちゃんの表情は暗く、とても辛そうです。
■28km地点で待機していたスタッフ達と合流
舟橋トレーナーがメディカルチェックを行います。脚を触診すると、触るところを全部痛がるきじゆりちゃん。
メディカルチェックを行った結果「これ以上無理をすると、疲労骨折をする可能性もあるから、もうやめようか?」と舟橋トレーナー。
きじゆりちゃんはもう、ここでリタイアか……。誰もがそう思った次の瞬間、彼女の口から出たのは……。
「歩けば制限時間内の6時間に間に合いますよね? じゃあ歩きます!」という、強い意志の言葉でした。
「(歩けば)まだ間に合う!」(きじゆり)
この言葉には「今までのきじゆりなら、絶対にここであきらめていた」と、マネージャーさんも驚きを隠せない様子。脚は心配でしたが、ここは彼女の気持ちを優先し、歩いてゴールに向かってもらうことにしましょう。きじゆりちゃんは、脚の痛みをこらえながらしっかりと歩いて行きました。スタッフはゴール地点に移動。先にゴールするであろう柚音ちゃんを待ちます。
■ゴール前(競技場)
スタッフが到着してしばらくすると、辻柚音40km地点通過という連絡が伴走スタッフより送られてきました。あともう少し!
ついに、ゴール地点である競技場に表れた柚音ちゃん! 42kmも走ってきて疲労困憊のはずなのに、渾身のダッシュ! 他のランナーたちをごぼう抜きにしていっています。こぼれんばかりの笑顔で走る姿はとても気持ち良さそうです。そして、圧巻のゴール!
■大きくジャンプをしてのゴール!
■パーソナルタイムは4時間54分51秒!(辻柚音)
パーソナルタイムはなんと、4時間54分51秒! マラソン初挑戦にしてこのタイムとはお見事。5時間を切るという目標も無事達成です。
完走直後の柚音ちゃん。達成感に満ちあふれた笑顔!
■必死に歩き続けるきじゆり
柚音ちゃんはゴールしましたが、きじゆりちゃんがまだです。歩いて向かっているきじゆりちゃんを待つ一同。このとき、雨が降ってきました。雨で体が冷えてしまっては、余計脚の痛みが増しそうです。大会の制限時間も刻一刻と近付いてきています。無事ゴールできるのでしょうか……。
■マネージャー「28km地点で辞めると思っていた」
(30キロ地点を超えるきじゆり)
ゴール地点に先回りするスタッフの車内で、マネージャーさんがこんな事を語ってくれました。
「実は、17km過ぎて、奥山トレーナーからきじゆりが脚が痛いと言っている。という連絡を貰った時、きじゆりの完走は無理だと思いましたし、もう十分良くやったと思いました。だから舟橋さんに連絡し、28kmのメディカルチェックで舟橋さんの方からも辞めるように言ってくださいとお願いしていたんです。マネージャーである自分が言っても、きじゆりは納得しないですし辞めても悔いが残るでしょうから」(マネージャー)
「今まで途中で挫折することが多かったきじゆりの人生で、ここまで3か月練習を続けられた事が奇跡みたいなものでした。だから、毎週練習を続けてきたこともそうですし、今、フルマラソンに挑戦してハーフの20kmを超えた事だけでも、本当に十分な頑張り、姿でした。だから脚が痛いのならば、これ以上無理はさせたくないなと。そしてきっと、きじゆりは無理をせず素直に辞めるはずだと思っていました。しかしあの時、やるだけやってみると言って歩き出した事は、本当に衝撃でした。これは、今までなら絶対にありえない事なんです」(マネージャー)
■ついに競技場に現れるきじゆり
柚音ちゃんゴールから約1時間後、きじゆりちゃんと奥山トレーナーの姿が見えました。脚の痛みにより歩いていたはずなのに、走っているではありませんか! この三ヶ月間のことが走馬灯のようにかけめぐり、涙が止まらなくなってしまった筆者。泣きながらカメラのシャッターを切りました。40km地点から走っていたとのことです。
(歩きではなく、シッカリと走っているきじゆり)
■きじゆりゴール!
最後の力を振り絞って完走、きじゆりちゃんもゴール!!
■パーソナルタイムは5時間49分25秒!(きじゆり)
(完走を祝い、奥山トレーナーと握手をするきじゆり)
パーソナルタイムは5時間49分25秒! 6時間を切るという目標も達成です! あまりの感動に、マネージャーさんも走ってきじゆりちゃんに駆け寄ります。
■ゴール直後は歩くことも出来なくなったきじゆり
無事完走できた疲労感と安心感から脚が棒になってしまったきじゆりちゃんをおんぶする、親のようなマネージャーさんの姿がありました。
■これからの人生に活きてくるから絶対に達成させたかった
「制限時間は6時間で、あの時、28km地点では実は残り時間を考えると全て歩いたのでは制限時間内にゴールに辿りつけるか微妙なところでした。途中に走りを混ぜ、1kmのラップを計算しながらゴールに向かいました。残り5kmを迎えて何処かでロングランを入れないと厳しいなと僕自身も焦っていました。
もちろん、木嶋ゆりさんの脚は限界を超えていた事は知っています。でもゴール目の前まで来て、目標達成できないなんて辛すぎるし、負け癖をつけさせたくなかったんです。フルマラソン完走という成功体験が必ず、これからの人生に活きてくるから絶対に達成させたかったですね。本人の意思を確認した上で40km地点からの(人生の)ラストスパートを決断しました」(奥山トレーナー)
■記録証の授与
一息し、奥山トレーナーより記録証を受け取る二人。
こうして二人とも完走、目標タイム達成という、大成功に終わったグラビアアイドルマラソン企画。ホンネを言いますと、この企画の取材依頼をいただいたとき、マラソン初心者な上に、練習はたった三ヶ月間!? いやいや、無理でしょ、ましてやきじゆりちゃんなんて学校のマラソン大会ですらサボってたんだから、いきなり42.195kmなんて無謀じゃないか、と思っていました。しかも、途中で二人とも脚を故障してしまい、これはあきらかに練習不足ではないかと素人目には思っていました。(しかし、これが奥山トレーナーの指導法。完走を目指すという目標だけならば、レース直前に走り込みをし過ぎないことがポイントだということです)
しかし、この三ヶ月間で確実に成長していった二人。体力面はもちろんですが、精神面の成長が著しかったように感じます。ただただ、「良かった」という言葉しか出てきません。42.195kmを完走できたことで、二人とも新たな自信がついたのではないでしょうか。その自信をこれからの芸能活動やプライベートでも活かしてもらいたいものですね。
■完走を目指す中、周りからの声援を貰っていた2人
「42.195km走り切れました! 最初に自分で決めた5時間を切るという目標を達成できてすごくうれしいです。でも、途中3回くらい、後20kmかぁと思ったら、過呼吸になってしまったり、周りの声援を聞いて、残り2kmのときに感情がこみ上げて涙が止まらなくなってしまったりとか、最後の方は辛かったです。頭の中では歩きたいと思っていても、体がどんどん前に進んでいきました。最後、競技場に入ってからのフィニッシュが意外と近かったので、めっちゃダッシュしました。あのダッシュでたくさんのランナーを抜けたので、自分を褒めてあげたいです!」(辻柚音)
「何度も、もうダメかもしれないと思いましたが、イケるところまでいこうと決めました。私は目標を低めに設定する性格なので、30kmくらいまでイケればいいやって気持ちでいました。でも、奥山トレーナーが全然止まってくれないので、これはもう、奥山トレーナーについていくしかないなと(笑)
37kmあたりで、心が折れそうでした。でも、その地点で『ゆりちゃんがんばって!』と応援してくれた人がいてびっくりしました。やはり、名前を呼ばれるのはうれしいですね。その応援でがんばれました。また、40km地点に大きな時計があり、目標タイムの6時間まで残り10分しかありませんでした。普通に走ったら1km6分半で走れます。走れば間に合うけどどうしようと迷っていたら、有無を言わず奥山トレーナーが走り始めたので、ついていきました。完走できて良かったです!」(きじゆり)
■企画結果
「マラソン未経験の初心者が、3か月の練習でも42.195km完走できるのか?」
結果:初心者でも練習や筋トレ、食事改善を積み重ね、当日のペース配分を間違えなければ、3か月でも完走は可能!声援を貰えればピンチの時に力が湧いてより完走しやすくなる!
この三ヶ月間の密着取材、様々なドラマが詰まった非常に濃い期間でした。また、筆者自身もグラドル二人と一緒に走って疲れ果て、おまけに食事制限もしていたので頭が回らないまま原稿を執筆することもあり、時おり原稿に誤字脱字があったことをお詫び致します。
きじゆりちゃんと辻柚音ちゃんのこれからの活躍も応援していただければ幸いです。読者のみなさま、三ヶ月間お付き合いいただきありがとうございました!
(取材・文/姫野ケイ 写真・筋肉バカドットコム)
【3か月のグラドルフルマラソン、合同トレーニング目次】
【企画の目的】【木嶋ゆり&辻柚音】マラソン経験ゼロの現役グラドル2人が42.195kmに挑戦!
【第三回目レポ】~皇居ラン10キロ、歴史を感じ池を眺め走る~
【第四回目レポ】~「筋力がまだ追いついていない」足の負担を軽減し鍛えるクロスカントリー~
【第五回目レポ】~『最長距離10kmの壁を超えていく筋力』の獲得~
【第六回目レポ】~『走りたいのに走れない』残り1ヶ月。焦るメンタルとの戦い~
【第七回目レポ】~やはり筋トレは結果に繋がる。毎日やろうと決意~
【第八回目レポ】~自然と笑顔になる。クロストレーニングとは複数種目の運動を積極的に取り入れる事~
【第九回目レポ】 ~脚に回復の兆し!きじゆりと辻柚音がインターバルトレーニングで長時間動ける身体を手に入れる!~
【第十回目レポ】 ~「制限時間は東京マラソンより短い6時間」完走する為の作戦ポイントを伝える~
【番外編】ついにフルマラソン挑戦のゼッケンを贈呈!〜壮行会&聖誕祭レポ〜
【第十一回目レポ】 ~タイムトライアルで見せた驚異の成長!最後の合同練習、果たして二人のタイムは・・・!?~