【特別コラム・舟橋 立二さん】急性の機能障害と慢性の機能障害の基準とは?
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舟橋 立二さんのプロフィール:(CSCS, JATI-ATI, FA Medical Level2)
トレーニング指導・トレーナー派遣のADP :http://adptrainers.com/
日本に帰国し、日本大学バスケットボール男子・女子部のヘッド・トレーナーとして日本一(男子のみ)を経験する。 その後、三菱重工相模原ラグビー部にて5年間ヘッド・トレーナーを務め、現在はプロバスケットボールチーム東京エクセレンスのメディカル・スーパーバイザーとなり、2013-2014シーズンで優勝に貢献する。また玉川大学サッカー部のストレングスコーチ、ロンドンオリンピック代表でアジア大会2014の銀メダリストの土居愛実(セーリング)の専属トレーナーとしても活動する。
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前回、「TART」のお話をしましたが、その続きになります。
「TART」では、身体に障害があると、その基準となる指標があるということを話しましたが、今回は急性と慢性の基準です。
《急性の傷害と慢性の傷害とは》
スポーツなどで怪我をし、最初の48時間を「急性」と呼んでいます。
急性期には☆個人差☆があり、ぴったり48時間かというとそうではなくあくまでも基準となる数値です。
「慢性」とは、受傷後72時間以降のことであり、これも上記と同じ基準数値です。
またその間は亜急性と呼ばれており、まとめると怪我をしたから「急性→亜急性→慢性」となります。
これは怪我をしてから身体が修復過程に入り、直そうとする自然治癒によりそれぞれの段階を作るため、そのような区分けをしてわかりやすく言葉にしたものです。
《急性と慢性の基準症状とは》
上でお話させて頂いた通り、個人差があるため必ずしも75時間経過したら慢性かというとそうではないことがあります。
その個人差を埋めるための基準があります。
それが下記になります。
【急性症状】
・ 体温の上昇
・ 湿度の上昇
・ 高浸透圧の上昇
【慢性症状】
・ 体温の低下
・ 乾燥
・ 萎縮
・ 筋膜組織の繊維化
上記を頭に入れ、個々を評価しますと急性か慢性かの一つの基準になります。
《急性と慢性のアプローチ》
その選手やクライアントが急性か慢性かがわかると、アプローチ方法も変わってきます。
急性の場合は、一般的に「RICE」処置と呼ばれるものを行い、「過度の」体温上昇を抑えたり、「過度の」腫脹を抑えたりします。
対して慢性では、体温(患部)の上昇を狙ったり、筋の萎縮をとるために積極的なリハビリを行ったりします。
治療として筋膜リリースなどのテクニックを使ったりもします。
このようにその怪我が急性なのか、慢性なのか知ることで適切なアプローチも出来るようになります。
その一つの基準が今回お話しました「急性と慢性の基準症状」であり、これを参考に傷害評価をしてみてはいかがでしょうか?
参考文献
「Atlas of Osteopathic Techniques」Alexander S. Nicholas 2008.
(文:舟橋 立二)