【特別コラム・舟橋 立二さん】筋の機能を考える時に考慮する4つのポイント。【筋機能の分類】
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舟橋 立二さんのプロフィール:
(CSCS, JATI-ATI, FA Medical Level2)
日本に帰国し、日本大学バスケットボール男子・女子部のヘッド・トレーナーとして日本一(男子のみ)を経験する。
その後、三菱重工相模原ラグビー部にて5年間ヘッド・トレーナーを務め、
現在はプロバスケットボールチーム東京エクセレンスのメディカル・スーパーバイザーとなり、
2013-2014シーズンで優勝に貢献する。
また玉川大学サッカー部のストレングスコーチとしても活動する。
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【筋機能の分類】
学校で習うことは、筋肉の機能の一部でしかありません。
それをすべてだと思いトレーニングや治療などに活かすのは、
ほんの一部しかアプローチしていないことになります。
《筋の機能》
筋の機能を考える時には、次の4つを考慮する必要があります。
1. 解剖的ロケーションと構造
2. バイオメカニクス・ポテンシャル(生体力学的可能性)
3. 神経生理学
4. 病理による特徴の変位と変化
つまり学校で習うことは、ほぼ1のみであるかと思います。
《大腰筋のこと勘違いしていませんか?》
その解剖的ロケーションと構造だけに目がいってしまうと間違った知識として記憶してしまうことがあります。
例えば、「大腰筋」
その機能は、“股関節の屈曲”と習うかと思います。
この筋肉は、羽状筋であり、線維は斜めに走っています。
(起始・停止は教科書を参考にしてください。)
実は、この筋肉、収縮できる距離は約2.25cmのみです。
つまり、股関節を屈曲できるほどの距離と力を発揮できません。
ただ、この筋膜の後面部は、骨盤の前縁に付着しており、これが骨盤の後傾を生みます。
股関節を屈曲する際には、骨盤の後傾も同時に起こりますが、それを助けているのが大腰筋。
後傾することで、起始・停止を近づけたった2.25cmでも股関節屈曲の手助けに十分なり、
大腿四頭筋などと共に屈曲します。
《一個へのアプローチ危険性》
この大腰筋は、股関節屈曲のための協同筋であり、その筋肉自体が屈曲を起こしているわけではありません。
大腰筋は、一例ですが、このように一つのことだけにアプローチしてもうまく行かない場合が多いですし、効率も悪い。
しっかり筋の機能を理解し、それぞれにアプローチをしなくてはいけません。
つまり、しっかりした基礎知識が必要です。
筋肉って奥が深いですね!
参考文献:
Comerford, & Mottram., 2013 “Kinetic control” Churchill Livingstone.
Gibbons, S., 2007. Clinical anatomy and function of psoas major and deep sacral gluteus maximus.
長島 解剖学アトラスⅠ P.95 文光堂
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