【特別コラム・舟橋 立二さん】機能不全を見落とさない!「痛み」からスポーツ選手を見る時の注意点
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舟橋 立二さんのプロフィール:
(CSCS, JATI-ATI, FA Medical Level2)
日本に帰国し、日本大学バスケットボール男子・女子部のヘッド・トレーナーとして日本一(男子のみ)を経験する。
その後、三菱重工相模原ラグビー部にて5年間ヘッド・トレーナーを務め、
現在はプロバスケットボールチーム東京エクセレンスのメディカル・スーパーバイザーとなり、
2013-2014シーズンで優勝に貢献する。
また玉川大学サッカー部のストレングスコーチとしても活動する。
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今回は、機能不全を見落とさない!「痛み」からスポーツ選手を見る時の注意点です。
■1《症状とは?》
まず症状とは、選手や患者が感じることであったり、訴えたりすることです。
痛み、知覚異常、麻痺、だるさ、固さ、不安定感、ギビング・ウェイ(膝崩れ)、ロッキング、
熱さ、寒さ、吐き気などが代表的な“症状”です。
そして、この症状の治療が、患者にとっての第一優先であり、短期の治療目標であることが多いかと思います。
■2:《痛みとは?》
その症状の中でも『痛み』は、患者が一番訴えることであり、そして★動作の機能不全★に繋がります。
「痛みをもった人は、異常な動作パターンがある」と研究でも発表されています。
痛みをもっていると、筋肉の導入パターンの変化と協力筋のコーディネーションの変化をもたらすそうです。
つまり、痛みは、“不制御動作”(UCM)を生みます。
逆に言えば、UCMのある選手は、どこかに痛みを抱えていることが多いということになります。
■3:《機能不全とは?》
機能不全とは動きの中の異常や妨害です。
これは客観的に評価や判断ができるもので、弱さ、固さ、感覚—運動器の変位などに現れます。
つまり、関節の可動域、筋力、筋周囲、柔軟性、スピード、コーディネーション、スキル技術などで評価することが出来ます。
■注意点:痛みではなく機能不全が改善されるまでアプローチを続けることが重要
受傷後などのアプローチにおいて、この機能不全が正される前に、症状は無くなることが多々あります☆
だから多くの場合、第一優先である”痛み”がなくなったら終了というパターンが見られます。
しかし症状が無くなったからといって、アプローチを辞めるべきでなく、
機能不全が改善されるまでアプローチを続けることが重要かと思います。
なぜなら機能不全があり、UCMがあると痛みの再発にも繋がりますし、パフォーマンスに大きく影響を与えてしまうからです。
目の前の“痛み”(症状)にばかり目がいってしまうと、機能不全を見落とす場合があります。
傷害へのアプローチでもトレーニングでも本質がどこなのか知ろうとすることから始まっていきます。
これが『評価』であり、それをすっ飛ばして成功(目的に到達)することは出来ません。
今回は、機能不全を見落とさない!「痛み」からスポーツ選手を見る時の注意点を述べました。
痛みを抱えた選手を見るときには、目の前のことだけではなく、本質(原因)がどこなのか広く深く見ていきましょう。
参考文献:
Dankaerts , W., O’Sullivan, P., Burnett, A., Straker. 2009 Discriminating healthy controls and two clinical subgroups of nonspecific chronic low back pain patients using trunk muscle activation and lumbosacral kinematics of postures and movements.
Comerford, & Mottram., 2013 “Kinetic control” Churchill Livingstone.
Seelig., 2010. “What I wish I knew when I was 20.”
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