【特別コラム・舟橋 立二さん】『先端が細い靴』は筋力が弱くなる、種子骨の位置がズレる理由とは
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舟橋 立二さんのプロフィール:(CSCS, JATI-ATI, FA Medical Level2)
トレーニング指導・トレーナー派遣のADP :http://adptrainers.com/
日本に帰国し、日本大学バスケットボール男子・女子部のヘッド・トレーナーとして日本一(男子のみ)を経験する。 その後、三菱重工相模原ラグビー部にて5年間ヘッド・トレーナーを務め、現在はプロバスケットボールチーム東京エクセレンスのメディカル・スーパーバイザーとなり、2013-2014シーズンで優勝に貢献する。また玉川大学サッカー部のストレングスコーチ、ロンドンオリンピック代表でアジア大会2014の銀メダリストの土居愛実(セーリング)の専属トレーナーとしても活動する。
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”日常からスポーツまでパフォーマンスUP”を考える。
前回は、「足部から考える」第2弾として『母趾MP関節の安定性』について書きました。
そしてそれは、種子骨の位置が重要であることを述べました。
今回は第3弾『種子骨のズレによる障害』です。
では種子骨の位置は何故ズレてしまうのか、そしてズレがあるとどのような影響が体やパフォーマンスにあるのでしょうか?
《筋肉の弱化により種子骨の位置がズレる》
前回の3つの筋肉(母趾内転筋、母趾外転筋、短母趾屈筋)がバランスを取り、種子骨の位置(Sesamoid Position)を正しい場所を維持します。
しかし、そのどれかの筋肉のバランスが崩れると種子骨を外に引っ張られます。
足の親指が人差し指に向かって曲がっていることを外反母趾と呼びますが、特に女性に多く見られます。
原因として小さい時に先が狭い靴を履いていたり、ヒールの靴を良く履くと指が前でつまり、指が内側に向かっていったりします。
また先天性のものもあり、これは何故か完全に解明はされていないと思います。
後天的である場合、筋肉の弱化によって種子骨の位置がズレて外反母趾は作られます。
《先端が細い靴は筋力が弱くなる》
先端が細い靴を履くと、狭さによって強制的に母趾が内側に入ります。
そうすると母趾外転筋は伸張された状態が続きます。
これにより脳からの指令が弱まっていき、筋力発揮が低下することで慢性的に弱くなります。
《外反母趾の状態は最初の一歩が遅い》
筋力が弱くなり外反母趾の状態(種子骨は外に引っ張られ、その部位が出っ張ったような形状)ですと、痛みがあるというのはもちろんですが、種子骨が正しい位置にいないためそれに関わる3つの筋肉が正しく働きません。
人間は歩く時もジョギングをするとき、またはダッシュの一歩目などは、最後の母趾の蹴りが必要となり、それを効率的に行うには、やはり種子骨が正しい位置にないと出来ません。
非常に小さい機能かもしれませんが、これがスポーツに於いて何十回も何百回も繰り返し行うと、パフォーマスとして影響を及ぼすことは予想されるかと思います。
最初の一歩が遅い方は、自分の足を見てください。
もしかしたら外反母趾になっていませんか?
参考・引用文献
Emily Splichal. “The Functional Impact of Bunions” Grow with EBFA. November, 2014.
図:http://www.mdguidelines.com/bunionより引用
(文:舟橋 立二)
”日常からスポーツまでパフォーマンスUP”を考える。
「足部から考える」シリーズ全4回
1回目: 足部First Rayの役割、『荷重支持』と『歩行の効率性』
2回目:3つの筋肉がカギとなる。『親指の付け根』種子骨は正しい位置にありますか?