【特別コラム・舟橋 立二さん】痛いと筋肉の使い方が変わる!?

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00110 - 【特別コラム・舟橋 立二さん】痛いと筋肉の使い方が変わる!?

舟橋 立二さんのプロフィール:

(CSCS, JATI-ATI, FA Medical Level2)

日本に帰国し、日本大学バスケットボール男子・女子部のヘッド・トレーナーとして日本一(男子のみ)を経験する。

 その後、三菱重工相模原ラグビー部にて5年間ヘッド・トレーナーを務め、

現在はプロバスケットボールチーム東京エクセレンスのメディカル・スーパーバイザーとなり、

2013-2014シーズンで優勝に貢献する。

また玉川大学サッカー部のストレングスコーチとしても活動する。

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9992 - 【特別コラム・舟橋 立二さん】痛いと筋肉の使い方が変わる!?

 

 

【痛いと筋肉の使い方が変わる!?】

 普段みなさんは、無意識下で脳から筋肉へ指示が伝わり、正しい筋肉を適切に使っています。

(※前回の記事を参考

例えば、子猫を地面から持ち上げて抱っこするのと、引っ越しで重い衣料ケースをトラックに積み込むのでは、同じ筋力で行いませんよね?

でも別に子猫だからそっと持ち上げないととか考えていません。

視覚、聴覚などと経験により自然と脳から正しい指示が出て、無意識でこの動作を行います。

ただ、これらは「痛み」があると変わってきます。

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《運動単位と痛み》

 運動単位は、「痛み」が発生するとその伝達に変化を起こします。

特に、遅筋繊維を含む運動単位であるSlow low threshold motor unit (SMU)が大きく影響を受け、

速筋繊維を含む運動単位であるFast high threshold motor unit (FMU) はあまり影響を受けません。

 だから、この痛みは選手のパワーやスピードの能力を制限したりはあまりしません。

その証拠に、「約90%の世界記録は怪我で悩んでいる選手によって樹立される」と言われています。

《2つの運動単位の異変?》

 慢性の痛みや再発によるの痛みを持っている人は、

低負荷の機能的運動や姿勢を維持するために行う筋繊維動員を変化させます。

つまり、「痛み」によりSMUがうまく働かなくなります。

そうなるとどうなるかと言うと、低負荷の運動ではSMU、スタビリティ(安定機能)の筋肉が優位に働き、

長い間その運動が出来ていたものが、FMUが補う形になり、モビリティ(可動機能)の筋肉が優位に働きます。

 しかし、これは低負荷の運動の時に起こり、高負荷の時には起こりません。

高負荷の場合は、「痛み」があってもなくてもモビリティの筋肉が優位に働いています。

《痛みによる弊害》

 この異変が身体に起こることで、SMUつまり安定させるための筋肉が機能せず、

他の怪我を誘発したり、パフォーマンスにおいても正しくSMUが働かず安定性の欠如を起こしたりします。

つまり脳からの筋肉への指示が正しく伝わらなくなります。

怪我を起こしたときには、その脳と筋肉の伝達を正しく戻すためのケアやリハビリが必要になります。

参考文献:
Comerford, & Mottram., 2013 “Kinetic control” Churchill Livingstone.

 

(文:舟橋 立二)

トレーニング指導・トレーナー派遣のADP
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