【百本コラム】十一本目:『股関節まわりの代償動作と具体的修正方法』【具体的改善動画14本】
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中村 知広さんのプロフィール:(神奈川県横浜市出身) YouTube : youking1027
スラムダンク直撃世代なので中学高校の6年間バスケ部に在籍。
日本体育協会アスレティックトレーナー養成の専門学校にて勉強を積む。
個人でパーソナルトレーナーとして活動しつつスポーツクラブに勤務。
現在はトレーナビリティ向上コミュニティ〝STEEZ&CO〟を主催し、反射運動の修正を主眼に置いたトレーニングメソッド〝Re.M.I.D〟を指導している。
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筋肉バカドットコムを御覧の皆様!こんにちは!中村(なかむら)知広(ともひろ)です。
今回は『股関節まわりの代償動作と具体的修正方法』についてです。
その前に、コラム連載が十回を超えたので、一旦、今までの知識を再共有しておきたいと思います。
※もちろん過去の各コラムを読み返して頂けると、より詳しく理解できます。
【股関節とは】
脚の付け根の関節の事。
腿の骨(大腿骨)と骨盤の連結部分を指す。
大腿骨頭という半球体と寛骨臼という半臼体がドッキングした、臼状関節という関節分類に属する。
動作は屈曲・伸展・内転・外転・内旋・外旋が可能で、これらの複合動作も可能。
【運動連鎖とは】
身体運動の連なり合いの事。
動作は一箇所のみで起こるものではなく、全身が連動して起こる。
【代償動作とは】
本来あるべき身体機能が働かず、別の身体機能が代わりを補って起こる動作の事。
必ずしも害悪をもたらすわけではないが、今回は害悪の元凶として捉える。
【運動連鎖トリガーとは】
運動連鎖を引き起こすキッカケとなる動作。
身体操作の肝は、運動連鎖トリガーを理解し利用する事。
【梨状筋とは】
股関節の最深部にある筋肉。
股関節の外旋と軸運動の安定化を担っている。
不安定な動作の反復が梨状筋にストレスを与え、梨状筋症候群による坐骨神経痛などを誘発する。
※運動連鎖や代償動作は足部から全身へ波及していくので、股関節の問題も足部抜きには語れないが、 話が複雑になり過ぎてしまわないように、今回は足部からの運動連鎖や代償動作は省く。
ザッとですが、知識共有は以上!それぞれ覚えていましたでしょうか?
【本題】
今回は『股関節まわりの代償動作と具体的修正方法』について。
まず、股関節の代償動作について話をします。
股関節にまつわる代表的な代償動作は、ズバリknee in toe out(ニーイントゥーアウト)です。
ニーイントゥーアウトとは、動作の中で膝が内側に入ってしまう代償動作の事です。
「?ん?それって膝関節の代償動作なんじゃないの?」と思った方もいるかもしれませんが、ちょっと違います。
ニーイントゥーアウトにおいて代償しているのは股関節の機能なんです。
【股関節の代償動作が膝関節に出る】
つまり膝関節は代償を払わされている側という事です。これは凄く重要な事。
何故なら、多くの人が膝の傷害において膝にばかりアプローチしてしまっているからです。
それでは対症療法にはなっても原因療法にはなっていない事を把握しなくてはなりません。
原因を解消しなければ延々と対症療法を続ける事になります。
ニーイントゥーアウトにおいて膝関節は『問題が発生している箇所』であって『問題の原因がある箇所』ではないのです。
すなわち『問題の原因がある箇所』が股関節なわけです。
【ニーイントゥーアウト解説動画】
股関節の動きとニーイントゥーアウトについて動画で解説しています。
【ニーイントゥーアウトの悪影響】
ニーイントゥーアウトの悪影響をいくつか挙げていきます。
まず、前回お話しした梨状筋症候群の遠因となる事。
動作中にニーイントゥーアウトが入ると股関節の軸運動が不安定となり、その不安定を抑え込むために絶えず梨状筋にストレスがかかり、これにより拘縮した梨状筋が坐骨神経を阻害するわけです。
他にも、膝関節の傷害の近因となる事。
内側半月板を損傷したり、前十字靭帯を損傷したり、内側側副靭帯を損傷したり、膝蓋腱を損傷したり、様々な傷害を誘発します。
他にも、運動パフォーマンスの低下やスタイルの崩れの近因にもなります。
ニーイントゥーアウトは力学的にロスが多く、美学的にも美しくありません。
【股関節におけるニーイントゥーアウトの原因】
次に、股関節におけるニーイントゥーアウトの原因を解説します。
一言で言うと「股関節の筋バランスの崩れ」が原因です。
もう少し詳しく表すと「股関節の内旋・内転・屈曲に関わる筋群の発達に対して、外旋・外転・伸展に関わる筋群の発達が劣ってしまっている事」が原因です。
これらに関わる筋肉について詳しく解説すると話が複雑になり過ぎてしまうので、筋肉についての解説は次回以降に回します。
【ニーイントゥーアウトの原因と改善方法】
それでは、いよいよ動作を中心にニーイントゥーアウトの原因と改善方法を解説します。
上記でも述べた通り、股関節の動作は屈曲・伸展・内転・外転・内旋・外旋の6通りで、更にこれらの複合動作が可能です。
これらの複合動作には連動しやすい組み合わせが2通りあります。
1つは内旋・内転・屈曲の組み合わせで、もう1つは外旋・外転・伸展の組み合わせです。
本来であれば、これら6通りの動作と2通りの複合動作それぞれがバランス良くコントロール出来るものなのですが、ニーイントゥーアウトが表れる方はこのバランスが崩れています。
動作の癖によって内旋・内転・屈曲ばかりを多用してしまい、外旋・外転・伸展がほとんど使われないという状態。
結果、動作の中で膝が内側に入る事が多くなってしまうわけです。
【股関節の筋バランスを修正する】
ここまで原因について解説すれば、すでに改善方法の見当はついていますよね。
一言で言うと「股関節の筋バランスを修正する事」が改善方法です。
もう少し詳しく表すと「股関節の外旋・外転・伸展に関わる筋群を発達させる事」が改善方法です。
では、ここから具体的改善方法について14本の動画と共に解説していきます。
それではまずはストレッチから。
【動画解説14本】
段階①:『ストレッチ』
■腿前のストレッチ
■腿前と腿裏のストレッチ
■股関節の最大可動域のストレッチ
ただし、このストレッチ姿勢を取る事さえ出来ない方は無理しないで下さい。
そういったレベルの方はリスクが高すぎるので、まずは信頼できる方のパーソナルトレーニングを受ける事をお勧めします。
次にOKCトレーニングです。
段階②:『OKCトレーニング』
OKCトレーニングとは、身体の末端部が固定されていない状態でのトレーニングの事です。
このトレーニング動画では横になる事によって、足部からの運動連鎖を排除して股関節の動作に集中しやすくしているわけです。
■股関節の屈曲伸展OKCトレーニング
■股関節の外転内転OKCトレーニング
■股関節の外旋内旋OKCトレーニング
次は、CKCトレーニングです。
段階③:『CKCトレーニング』
CKCトレーニングとは、身体の末端部が固定されている状態でのトレーニングの事です。
このトレーニング動画では手と足の支持で動作を作る事によって、体幹を固定して動作しやすくしているわけです。
手や足の指で地面を握る事を強調しているのは、運動連鎖トリガーを働かせる狙いがあります。
■バックステイプル(レベル1)
■ストリングスタンプ(レベル2)
■Dシザース(レベル3)
■シーリングキック(レベル4)
■スクリューバイト(レベル5)
段階④:『ジャンプトレーニング』
最終段階としてジャンプトレーニングです。
このフェイズでニーイントゥーアウトを出さずに動作できれば完璧です。
ただし、リスクが高いので細心の注意を払いましょう。
■シザーススタンプ
■ボトムスタンプ
■タックジャンプ
【改善メニューを組む時の目安トレーニング量】
段階①『ストレッチ』は各ストレッチ姿勢を30秒づつ3周すれば十分です。
段階②『OKCトレーニング』も各トレーニング動作を30秒づつ3周すれば十分。
段階③『CKCトレーニング』は一つのトレーニング種目につき20秒運動の10秒休息を8セットくらいが妥当です。
全レベルを一遍にやる必要はありませんので、自分自身の体力に合わせてトレーニング種目を選択しましょう。
段階④『ジャンプトレーニング』は一つのトレーニング種目につき15秒運動の15秒休息を5セットくらいが妥当です。
これも全レベルを一遍にやる必要はありませんので、自分自身の体力に合わせてトレーニング種目を選択しましょう。
【最後に】
絶対に守って欲しい点は、ニーイントゥーアウトが出るのであれば段階を戻ってやり直す事!
ニーイントゥーアウトが出たまま、難易度の高いトレーニングに進むのは危険です。(トレーニングの壁にぶち当たったら中村にご相談してください。)
今回は股関節を中心に述べましたが、実際には足部や体幹からの運動連鎖が関わってくるので非常に複雑なメカニズムになっています。
この百本コラムの回を追う毎に、この複雑なメカニズムが体系的に繋がっている事を解説していきたいと思います。
運動連鎖の研究に終わりはない・・・。中村も行住坐臥で邁進しております。
今回は以上です。
次回は『股関節まわりの筋肉と腰痛』をテーマに書きたいと思います。
乞うご期待!
(文:中村 知広)
中村 知広が主催するトレーナビリティ向上 STEEZ&COはコミュニティメンバーを募集しております。
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