【百本コラム】九本目:『股関節の構造と機能』

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 筋肉バカドットコムを御覧の皆様!こんにちは!中村(なかむら)知広(ともひろ)です。

前回までのコラムでは足部と足関節について、少しづつ積み上げる形式で知識共有してきました。

今回からは『股関節』について解説していきますので、また一から知識共有を始めたいと思います。

つまり、今回から読み始めても問題ないように解説していきますね。

それでは!メインテーマに入る前の恒例行事!

果たして何人の方が興味を持って読んでくれているのか定かではない「蛇足話のコーナー!」です。

 

今回の蛇足話は漫画『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』について!

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『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』は、1989年から1996年まで週間少年ジャンプで連載されていた人気漫画。

監修:堀井雄二さん、原作:三条陸さん、作画:稲田浩司さんで、ドラゴンクエストを元に構成されたメディアミックス作品。

「ドラゴンクエストって何?」っていう方には更なる説明が必要ですね。

ドラゴンクエストとは、剣と魔法でモンスターと戦い冒険するRPGファミコンソフト。

元となったドラゴンクエストも、漫画『ダイの大冒険』も、当時は少年から中年男性まで皆が知ってて当たり前ってくらいのビッグタイトルでした。

僕の中ではダイの大冒険と言えば、ポップ!

 

【腰抜けキャラのポップ】

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DRAGON QUEST -ダイの大冒険- 第3巻 より

↑第3巻の時点でのポップは腰抜けキャラ。

ポップとは、主人公の勇者ダイの相棒キャラクター。

この漫画の世界観は剣と魔法のファンタジーなので、敵モンスターにドラゴンが出てきたり、ダイも実は竜魔人だったりと、ただの人間が戦っていけるレベルではない。

しかし、ただの人間であるポップが修行を積み、最終戦でダイを心身ともにサポートする存在にまで成長するのです。

原作者の三条陸さんは、こう語っているそうです。

「もともと15の力の奴が20になるよりも、0だった奴が15になるほうが断然嬉しいでしょ」

「読者に最も見下されている彼が、オーバー・ザ・トップとして主戦力にまでなるっていう展開は当時のジャンプのセオリーから飛び出せると思いました」

三条さんの思惑通り、僕はポップのカッコ良さに打たれました。

ダイが強くて勇敢なのは当然の事なんですよね。

ダイはドラゴンと人間のハーフである竜魔人だし、何より漫画の主人公ですからね。

ポップは主人公でもない、ただの人間だからこそ、ダイにはないカッコ良さがある。

【絶望的な状況でも諦めないポップ】

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DRAGON QUEST -ダイの大冒険- 第36巻 より

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↑最終戦、大魔王バーンの攻撃を防ぐポップ。

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↑このポップの熱いセリフにグッと来ます。

「残りの人生が50年だって5分だって同じ事だっ!!!」

大魔王バーンとの圧倒的な力の差と、数分後には世界が消滅するという事実を前に、ダイは心が折れ、足掻く事さえ諦めてしまう。

しかし、そんな絶望的な状況でも諦めないポップのセリフがダイを立ち上がらせます。

このセリフは僕の人生においても、とても重要なキーワードです。

人はいつか必ず死にますが、誰も次の瞬間に死ぬとは考えない。

もちろん、そんな事を常に考えていたら生きていけないわけですが、「ここぞ!」と言う時には考えなきゃならない。

「明日があるさ」も良い言葉ですが、「明日が無かろうが今やれる事をやる」も大事。

つまり、やっぱりJust Do It って事です。

やってもやらなくても等しく時間が過ぎるのなら、挑戦してみた方が気持ちが良いと思いませんか?

皆さんもダイの大冒険をポップ中心に読んでみたら、きっとチャレンジャーな気持ちになれると思いますよ。

勇気が欲しい人はダイの大冒険を読みましょう。

はーい。蛇足話は以上です。

 

【本題】

 ここからメインテーマ『股関節の構造と機能』に入ります。

第一回からこれまでのコラムは足部→足関節と、身体の下から順番に解説してきました。

しかし今回から股関節。

「なぜ膝関節をとばして股関節の解説に入るのか?」

その理由は、『膝関節は足部からの運動連鎖と股関節からの運動連鎖がブツかり合う箇所だから』。

運動連鎖とは、身体運動において影響を及ぼし合う繋がりの事。

つまり、膝関節単体で解説を進めるのは効率が悪いわけです。

膝関節の解説は、股関節の解説が済んでから入りたいと思います。

今回から読み始めても問題ありませんが、より体系的に理解するのであれば「全ては繋がっている」という事を念頭に置いて読んで頂けると良いかと思います。

では、股関節の基礎知識共有をザザッとやってしまいましょう。

【股関節の解説】

 股関節とは、脚と胴体の繋ぎ目の事。

股関節を構成する骨は、大腿骨(←ふとももの骨ね)と骨盤(←お尻や腰の骨ね)です。

↓これが大腿骨で、丸くなってる部分が大腿骨頭。

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<ヴェルナー・プラッツァー(著) 平田幸男(訳) 分冊 解剖学アトラス1 運動器 よりir?t=100000000proj 22&l=as2&o=9&a=4830600322 - 【百本コラム】九本目:『股関節の構造と機能』>

股関節は大腿骨の骨頭が骨盤の寛骨臼に嵌まり込んだ、球関節という関節形状をしています。

 

↓これが横から見た骨盤で、丸く窪んでいる部分が寛骨臼。

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<ヴェルナー・プラッツァー(著) 平田幸男(訳) 分冊 解剖学アトラス1 運動器 よりir?t=100000000proj 22&l=as2&o=9&a=4830600322 - 【百本コラム】九本目:『股関節の構造と機能』>

球関節は最も自由度の高い運動が可能な関節形状で、これにより股関節は屈曲/伸展と内転/外転と内旋/外旋それぞれの関節可動域が広く且つ複合的な運動が可能となっています。

 

↓大腿骨と骨盤は、こんな風に組み合わさって股関節を形成しています。

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<ヴェルナー・プラッツァー(著) 平田幸男(訳) 分冊 解剖学アトラス1 運動器 よりir?t=100000000proj 22&l=as2&o=9&a=4830600322 - 【百本コラム】九本目:『股関節の構造と機能』>

また股関節は人体最大の関節であり、大小複数の筋肉が跨っています。

 

【動作の主軸となる重要な関節】

 大腿四頭筋や大腿筋膜張筋やハムストリングスや大臀筋や腸腰筋や深層外旋六筋などなど、良く知られた筋肉から全く聞いた事もない筋肉まであると思います。

股関節における屈曲とは腿をお腹に引き付ける動き、伸展とは腿を後方に引く動き、内転とは腿を閉じる動き、外転とは腿を横に開く動き、内旋とは内股になる動き、外旋とはガニ股になる動きを指します。

ここまで読んだだけでも、股関節が動作の主軸となる重要な関節である事は何となく分かるかと思います。

実際、股関節の働きが良い人と悪い人を比較すると様々な要素で歴然たる差が表れます。

それでは以下、要素毎に『股関節の働きが良い人と悪い人』の比較例を挙げてみましょう。

 

【比較例】

■要素①:運動パフォーマンスにおいて

 運動パフォーマンスとは、走りの速さだったり、力の強さだったり、競技の巧さだったり、姿勢の綺麗さだったりを指します。

『運動パフォーマンスが高い』=『運動神経が良い』と考えてもらってOKです。

当たり前の事ですが、運動パフォーマンスの高い人は股関節の可動域が十分で且つ全ての方向への動作がバランス良く行われます。

つまり運動パフォーマンスの低い人は、その逆ですね。

例えば、股関節まわりの筋バランスが崩れている事が挙げられます。

(筋バランスとは、筋力のバランスの事ね)

内転と内旋に関わる筋群に対して、外転と外旋に関わる筋群が弱いと、動作の中で股関節を閉じた状態を多用してしまいます。

これにより、本来は股関節を主軸として行われるべき動作が、膝や腰などを主軸に行われてしまいます。

「どっちにしろ動作は行われるんだからイーじゃん」と思う方もいるかもしれませんね。

 

所が、これにより歴然たる差が表れるのです。

上記でも述べた通り、股関節は人体最大の関節です。

つまり股関節は最も強い力を発揮できる関節なのです。

それに対して、膝や腰は小さな関節であるため、発揮できる力に歴然たる差が表れます。

もし身長・体重・骨格・筋力などが同じくらいの二人に、スクワット挙上重量の歴然たる差があるとしたら、その原因はおそらく股関節の稼働率の差でしょう。

 スクワット挙上重量の動画

 

 

■要素②:傷害において

 傷害とは、足首の捻挫や肩の脱臼や膝痛や腰痛や肩コリなど、広範囲な身体の不調を指します。

高い頻度で傷害を負ったり、長期間の後遺症に苛まれてしまう方は、股関節の働きが悪い可能性が高いです。

例えば、慢性的な膝痛に苛まれている人は、股関節が担うべき動作を膝関節の動作で代償してしまっているかもしれません。

このように本来の機能を別の機能でカバーする事を総称して『代償動作』と言います。

股関節を閉じて動作してしまう人は、膝関節に捻りの代償動作が発生します。

膝関節は捻られるための構造をしていないため、この捻りのストレスが膝関節にダメージを蓄積させ、膝痛となって表れるわけです。

股関節の働きが良い人は、このような代償動作が発生しないため、余程の事がない限りは膝痛に苛まれる事はないはずです。

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■要素③:美容において

 美容とは、容姿の美しさの事ですね。

股関節の働きの良し悪しと美容が関連している事は想像しにくいかもしれませんが、意外と大きな関連があります。

例えば、お腹がポッコリ出てしまう人。ポッコリお腹には2パターンあります。

一つ目はお腹に脂肪が付き過ぎてしまったパターンで、

二つ目は内臓を抑え込むためのお腹の筋力が低下してしまったパターンです。

このどちらのパターンにおいても股関節の働きの悪さが大きく影響しています。

上記でも述べた通り、股関節の働きが悪い人は運動パフォーマンスが低く、傷害リスクが高いわけです。

よって、運動で消費される脂肪量が少なく、脂肪を蓄えやすい体質となってしまいます。

また、股関節の機能を腰の機能で代償していると、やがて腰とお腹の筋バランスが崩れていきます。

一度このような筋バランスの崩れが生じると加速度的に筋バランスの差が広がり、内臓を抑え込むためのお腹の筋力がドンドン弱くなっていってしまうわけです。

股関節の働きが悪いと、このような悪影響が身体の至る所で発生します。

お尻が垂れてしまったり、胸が垂れてしまったり、脚が太くなってしまったり、姿勢が崩れてしまったり…

それに対して、股関節の働きが良い人は姿勢も動作も体型も綺麗です。

美しさとは本能に訴える要素であるため、人間本来の身体機能が発揮できている事が重要な要素となると考えられます。

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■要素④ 幸福度において

 幸福度とは、幸せかどうかの度合いの事ですね。

「股関節の働きの良し悪しと幸福度?関係ないだろ」と思う方もいるでしょうか?

ここまで読んでもらえれば、股関節の働きの良し悪しと幸福度の関連性は十分に分かって頂けると思います。

運動パフォーマンスが低いよりは高い方が健康で楽しい人生が送れるでしょう。

傷害に苛まれるよりはケガなく過ごせた方がストレスフリーでしょう。

醜いよりは美しい方が幸福度が高いでしょう。

『何に幸福を感じるか』には人それぞれ違いがあれど、『より良く生きる事が幸福である』という事に異論は挙がらないはずです。

股関節の働きが良い人は、内的幸福のほとんどを得る事が出来ると言えますね。

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今回は以上です。

股関節について少し分かって頂けたでしょうか?

今回から数回に分けて、股関節の基礎知識共有をしていきます。

出来るだけ難しくならないように書いていきますので、辛抱強くお読み頂けるとありがたいです。

また、第一回コラムから読み返して頂けると、この先の展開で話が繋がった時に体系的な理解度が増幅します。

もし分からない部分や質問・要望などがあれば、御連絡ください。

読みやすいコラム・分かりやすいコラム・面白いコラムを目指しております。

それでは次回『股関節の機能不全と代償動作』!

乞うご期待!です!

 

(文:中村 知広)

 

 中村さんのコラムで疑問や何か知りたい事などがあれば、

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