【特別コラム・舟橋 立二さん】サッカー選手は意外に腰痛が多いことを知っていますか?その理由の一つに股関節の「運動可動質の悪さ」

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00110 - 【特別コラム・舟橋 立二さん】サッカー選手は意外に腰痛が多いことを知っていますか?その理由の一つに股関節の「運動可動質の悪さ」

舟橋 立二さんのプロフィール:(CSCS, JATI-ATI, FA Medical Level2)

トレーニング指導・トレーナー派遣のADP :http://adptrainers.com/

 アメリカで数多くのメジャーリーガーを排出するCalifornia State University, Long Beachにて学生トレーナーを経験後、アジア人初NBAプレイヤーになった選手やデニスロッドマンが所属していたチームにてヘッドトレーナーを歴任し、日本に帰国。その後、日本大学バスケットボール部で日本一を経験。現在、三菱重工相模原ラグビー部にてヘッドトレーナー・チーフメディカルとして活動中。

 その他、NBDL2連覇中のプロバスケットボールチーム東京エクセレンスのメディカル・スーパーバイザー。また、パーソナルトレーナーとして、ロンドンオリンピック代表でアジア大会2014の銀メダリストの土居愛実(セーリング)の専属トレーナーとしても活動している。

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 001356 - 【特別コラム・舟橋 立二さん】サッカー選手は意外に腰痛が多いことを知っていますか?その理由の一つに股関節の「運動可動質の悪さ」

 サッカー選手は意外に腰痛が多いことを知っていますか?

その理由の一つに股関節の「運動可動質の悪さ」があります。本日はそのことについて「関節運動学」の点から記事を書きたいと思います。

 

<不制御運動〜Uncontrolled Movement>

 まずは、この言葉から述べたいと思います。人は最小の傷害が起こるとそこの機能が落ち、体をうまくコントロールできない状態(思った通りに動かせない)になります。つまりコントロール(制御)出来ない動きが生まれます。これが不制御運動、Uncontrolled Movement(UCM)です。

 

【腰痛で見落としがちな点】

 腰痛というと痛いところに湿布を貼ったり、病院に行けば腰部のレントゲンやMRIを撮って診察したりしますが、その部位以外が悪さをしている場合もあり、その結果、腰部に不制御運動(UCM)が起こり痛みなどの症状として現れる場合があります。もちろん必ずしもこれだけがサッカー選手の腰痛の原因というわけではありませんが、見落としがちな点を述べていきます。

 

■大腿骨を伸展(足を後ろに振る)

 サッカーの特徴として、当たり前ですが足を使ってパスやシュートをします。そのパスやシュートは基本股関節を使って大腿骨を振ります。その際に、まずは準備段階として大腿骨を伸展(足を後ろに振る)させます。ここに腰痛ポイントがあります!

 

■大腿骨を伸展(足を後ろに振る)させる運動がスムーズか

 その股関節の”運動可動質”が悪いと大腿骨を伸展させる運動がスムーズにいかなく可動域(ROM)が低下したりします。
また、脳が思ってるようにまっすぐ伸展(厳密にはまっすぐ伸展させるわけではありませんが)させることが出来ないという不制御運動(UCM)が起こります。

 

■股関節の質が悪いと、パス・シュートの度に「必要以上の筋力」を出すことになる

 つまり脳の考えていることと、実際に起こっていることの間にGAPが出来るわけです。そうすると体は、他の部位を使って股関節を伸展させようとします。その他の部位というのが、腰部の伸展筋です。股関節の質が悪いため、伸展させる筋肉を使って大腿骨を伸展させようと必要以上の筋力を発揮します。代償運動と呼ばれるものです。それを毎パス、毎シュートの度に「必要以上の筋力」を出していたらどうなるかは想像できるかと思います。それが腰痛という症状に繋がります。

<どこを改善すればいいの!?>

 では、上記のような選手に対する腰痛予防は、どうしたら良いのでしょうか?腰痛だから、その硬くなった筋肉をほぐす?それも一時的には筋肉が柔らかくなって改善するでしょう。ただ、根本的なものは直していないので、また腰痛になるでしょう。ここまで読んでくださった皆さんはお気づきかと思いますが、「股関節の伸展方向への運動可動質」を改善しなければいけません。この伸展方向への質改善は、大腿骨頭の前方への”滑り”という機能を回復させる必要があります。

 このようなメカニズムで腰痛を起こしている選手は、自分の股関節の機能を十分に使っていない状態です。つまり、「もったいない」わけです。特に技術重視の選手にあまり振りかぶらず蹴っている選手が多くいます。関節運動学からわかる腰痛の盲点です。

 

みなさんの周りのサッカー選手は、シュートの振りかぶりの際に股関節が十分に伸展していますか?

 

(文・舟橋 立二)

 

参考文献:Mark Comerford, Sarah Mottram. Kinetic Control, The Management of Uncontrolled Movement, Churchill Livingstone, 2012.

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ADPでは、JM7にて本来その選手が持っている”滑り”の機能を回復させます。
「JM7」のコンセプトは、「その選手の能力を十分に発揮させるためのアプローチ法」です。
http://www.jm7.org

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