【特別コラム・舟橋 立二さん】怪我からのスポーツ復帰で必要なこと〜膝のリハビリ
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舟橋 立二さんのプロフィール:(CSCS, JATI-ATI, FA Medical Level2)
トレーニング指導・トレーナー派遣のADP :http://adptrainers.com/
日本に帰国し、日本大学バスケットボール男子・女子部のヘッド・トレーナーとして日本一(男子のみ)を経験する。 その後、三菱重工相模原ラグビー部にて5年間ヘッド・トレーナーを務め、現在はプロバスケットボールチーム東京エクセレンスのメディカル・スーパーバイザーとなり、2013-2014シーズンで優勝に貢献する。また玉川大学サッカー部のストレングスコーチとしても活動する。
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【怪我からのスポーツ復帰で必要なこと〜膝のリハビリ】
怪我をした後、病院で診察してもらうと、何日間または何週間、
運動は控えてくださいってドクターに言われます。
さて、その何日、何週間は何をすればいいのでしょうか?
リハビリで重要な要素についてお話させて頂きます。
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《怪我をすると起きる身体の反応》
人間は、怪我をすると悪化させないために身体に様々な変化をもたらします。
その一つに筋萎縮があります。
これは、怪我部分を動かして悪化しないため、そして安静にして治癒能力を上げるために筋肉を小さくして活動しにくい形にします。
そのようにして怪我を直すために身体が無意識下で考え反応する「自己防衛機能」が人間には付いています。
身体はとても不思議なものです。
《膝の中ではどんなことが?》
膝を例にとってみましょう。
例えば、前十字靭帯(ACL)が損傷した後は、VM(大腿骨内側広筋)と呼ばれるもも前の筋肉の一部が一番早く萎縮します。
これは、ACLの怪我を起こすと膝に腫れが起こり、まず関節自体の可動性を制限します。
それにより関節にある固有受容器(脳と筋肉をつなぐ神経のためのレセプター)の機能を低下し、休ませます。
そうするとそこをつなぐ筋肉は脳からの指令も低下するために筋肉は小さく萎縮します。
そのような自己防衛機能で患部を保護します。
しかし、腫れも引き、痛みが軽減して怪我が良くなってきてもこの受容器の機能が低いままの場合が多いです。
《「筋肉を鍛える」以上に大事なものとは?》
上記の説明からもわかる通り、筋肉自体のアプローチも重要ですが、怪我をすることで落ちる機能がもう一つあります。
それは、固有受容器です。これは筋肉と脳をつなぐ神経のレセプターで一般的には、足を動かす早さ、今足や腕などがどこにあるかという空間認知能力などの役割を担っています。
この説明は、以前「笑って〇〇○○!」で武井荘さんがパフォーマンスについてこの機能をわかりやすく説明しています。
■武井壮が語るスポーツが上手になるコツが説得力ありすぎ!
怪我をすると、もちろんこの機能も低下し、頭で考えている場所(空間)やスピードで筋肉をうまく動かせないという症状がおきます。
先日チームで膝の手術後のリハビリを行っている選手に、話しを伺ったところ。
こういう感想がありました。
「筋肉は大きくなって見た目は十分な感じはするけど、走ったりすると何か違和感がある。思った通りの早さでない。」
これは、この固有受容器が低下しているからだと考えられます。
つまり怪我をした後、復帰までこの機能も元通りにしてあげる必要があります。
それがスポーツにおけるリハビリのコツと言っても良いかもしれません。
また意外とこの要素はリハビリの過程で忘れがちな点でもあります。
リハビリでは関節の可動域や筋力を戻すことももちろん重要ですが、それだけでは不十分で、同時にこの固有受容器を戻すための努力が必要です。
結果的に、この機能向上がパフォーマンス向上にもつながります。
参考文献
「考える膝」井原秀俊, 全日本病院出版会 2002.
(文:舟橋 立二)