【特別コラム・山川公平さん】「無知なる筋トレの過ち」『脇』にフォーカスをあてた筋バランス調整方法
*******************************************
山川公平さんのプロフィール:
体軸コンディショニングスタジオ スタジオマネージャー
JCMA認定体軸セラピスト
高校、大学、社会人でアメフト9年経験。中央大学でアメフトをしている時に、右肩のOpe.と両膝靭帯の損傷に大きなケガを負う。その自身の怪我がきっかけとなり、健康の重要性を実感する。大手旅行会社に勤務する中で、社会人クラブチームにてアメフトした際に、Bodyworkerの道を決意。 都内でピラティスインストラクターとして活動している時に高橋龍三(スタジオ代表)に出会い、師事。体軸理論を習得し、その理論のもとに施術やピラティスの活動している。
現在、スポーツ選手のメンテナンス/パフォーマンスアップ、インストラクターの養成、障害の改善などを行う。
体軸ピラティス監修、明治ZAVAS「知らず知らず筋」 協力
*******************************************
☆☆☆自分を鍛えるためやカラダの改善に重点を置き、様々なトレーニング要素を取り入れたエクササイズ「ピラティス」を、筋肉重視でより分かりやすく伝え、運動パフォーマンスを上げる新コーナー「筋ピラティス」のスタートです!☆☆☆
筋肉バカドットコム読者の皆さんこんにちは。体軸コンディショニングのマネージャー山川公平です。運動パフォーマンスを上げるためにはトレーニングが必要だ! そんな考えから筋トレを始めたり続けている方が多いですが、ただやみくもにトレーニングしても、スポーツのパフォーマンスにはつながりません。 今回は体幹と肩関節の筋連鎖について考えながら、『脇』にフォーカスをあてた筋バランス調整方法をお伝えしたいと思います。
■その前にちょっと恥ずかしい話…
私は学生時代にアメフトをしていました。たまたま高校にアメフト部があったので興味本位から始めたけれど、身体は大きくなく、始めた当初は55kgしか体重はありませんでした。身長は166cmと競技性としては小柄。
そこで身体を大きくするために、浅はかな知識で筋トレをして筋肉をつけようと思いました。なぜなら、NFLの選手はみな身体が大きく、筋骨隆々だったからです。がむしゃらに筋トレと食事で徐々に身体が大きくなり、55kgだった体重も最終的に84kgまで増えていきました。しかし。。
■無知なる筋トレの過ち
中学時代から良くなかった肩の調子は徐々に悪化、大学3年の時に限界を迎え、シーズン終了後に肩のオペを決行しました。「筋肉を付ければ肩の動きが良くなって痛みがなくなるはず!」そんな考えがあったのでトレーニングを続けていたのですが、逆に徐々に右肩が辛くなっていたのです。
結果、
「腱板損傷」と「上腕二頭筋長頭腱の剥離」
を経験することに。。
■肩の調子を良くしながら、パフォーマンスを上げられる
今だから言えるけど、昔の自分に喝を入れたい。「闇雲に重さだけを挙げるな!そんなことは今すぐやめろ!」あの頃の自分を今の自分が指導していれば、肩の調子を良くしながら、パフォーマンスを上げられるのに。。ただ重りを挙げる筋力トレーニングは、身体は大きくなり部分的な筋肉が鍛えられますが、部分的に鍛え続けると全身の筋バランスは崩れ、関節運動の機能も低下します。
このような「無知なる筋トレの過ち」で不調になって欲しくはありません。
それでは、今回の本題に入りましょう!
《肩関節の運動と体幹の連動》
■体幹と肩関節の筋連鎖について
肩関節の主働筋は、三角筋・大胸筋・ローテーターカフが挙げられます。これらを筋連結の観点から見ていくと、三角筋と大胸筋は筋連結し、三角筋は僧帽筋と、大胸筋は腹直筋へと筋連結します。これではアウターマッスルが優位となり、身体が固まりやすくなります。そこで、出てくるのが『脇』になります。
■『脇』を使えるようにするために
脇は主に前鋸筋(ぜんきょきん)のことを指します。前鋸筋は肩甲骨内側縁から肋骨の外側につき、肩甲骨の前方移動や上方回旋の働きを持ちます。肩甲骨の可動は肩関節の運動においては欠かせません。さらに前鋸筋の筋連結を見ていくと、外腹斜筋から腹横筋、横隔膜、大腰筋と連結していきます。このように、インナーマッスル主体で体幹と肩関節を連動させることができます。
このように肩関節はいろいろな筋肉が交わり影響しています。その中で三角筋という筋肉は優位に働き続けると、動作の中で肩関節に負担がかかるので、スムーズに動かなくなったり、四十肩や肩峰損傷などの障害につながりやすくなります。
そこで、『脇』を使えるようにするために、クロスポイントシステムを使います。
《クロスポイントシステムとは》
■筋肉には、交じり合う場所「クロスポイント」がある
全身の筋肉には、交じり合う場所があります。そして、ある特定の筋肉が関係してくる交差点を「クロスポイント」と呼びます。このクロスポイントを刺激することで、複数の筋肉を同時にアプローチすることができ、一度に筋バランスの調整ができるようになります。
この『脇』のクロスポイントは、三角筋・上腕三頭筋・広背筋の交差点になります。これらを同時に刺激すると、前鋸筋が優位に活動しやすくなり、肩関節の運動機能が向上します。
・実際にやってみましょう。
【筋バランスの調整(『脇』のクロスポイント)】
①肩回しをして、現状の可動性を確認する。
②脇のクロスポイントを指で押さえながら肩回し(前後)を行う。
③最初と同じ動きをして動作を確認する。
動画はより分かりやすいので、是非ご覧ください。
■【動画】脇のクロスポイント
このように『脇』のクロスポイントを刺激してから肩関節を動かすトレーニングをすることで、筋の活動バランスが整いつつ、体幹が使える運動を習得できるようになります。ぜひ日頃のトレーニング前にクロスポイントを押すことを取り入れてみてください。
(文・山川公平)