【百本コラム】八本目:『自覚性の原則 足部/足関節編』

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 筋肉バカドットコムを御覧の皆様!こんにちは!中村(なかむら)知広(ともひろ)です。

前回コラムでは『足部の運動連鎖トリガー応用編』として、足の使い方を解説しました。

これを理解し、使いこなせるようになれば、フットワークの種類と質が格段に向上します。

フットワークとは足運びの事で、その種類を多く習得している人ほど、機敏に無駄なく動作を作る事ができます。

逆に、フットワークの種類が少ない人は、鈍臭く無駄の多い動作を多様してしまいます。

 

 一般的な表現の「運動神経が良い」「運動神経が悪い」といった印象を作り出す要素は、このフットワークの種類と質が多くを占めていると言えます。

競技パフォーマンスにおいて重要な要素である事は当然ですが、美容においても重要であり、傷害予防においても重要なんです。

いずれフットワークについてもコラムを書きたいと思いますが、皆さんとの基礎知識の共有が圧倒的に足りないため、しばし少しお待ち下さい。

今回はメインテーマの前にフットワークについての話を少し織り交ぜながら、漫画『スラムダンク』の秀逸ポイントについての蛇足話をさせて頂きます。

 

【漫画『スラムダンク』は秀逸】

 皆さん、漫画『スラムダンク』は読みましたか?

1990年から1996年まで週刊少年ジャンプに連載されていた井上雄彦さん作の高校バスケ漫画です。

スラムダンクは間違いなく国民的漫画であり、メディアミックスで社会現象にもなったほどの漫画です。

なので作品自体の説明は省かせて頂き、今回はスラムダンクの秀逸ポイントについて語りたいと思います。

スラムダンクの秀逸ポイントは沢山ありますが、今回は一つに絞って語ります。

それは『予備動作をリアルに描写している事』です。

 

予備動作とは、ある動作を行うために発生する準備動作の事。

ボールを投げる動作を作るためには、振り被る動作が必要です。

ジャンプ動作を作るためには、しゃがみ込む動作が必要です。

これらが予備動作。

 

漫画表現において、

躍動感があるかどうか、またはリアルかどうか、またはキャラクターが生きているかどうかは、この予備動作の描写にかかっています。

 

予備動作の描写が不完全だと、どんなに画力があってもリアリティに欠ける印象となってしまいます。

何故なら、コマとコマの繋ぎが読み手のイマジネーションで補完しにくくなってしまうからです。

 

この点においてスラムダンクは秀逸!

 

特にバスケ経験者が読むと臨場感が半端じゃない!(僕は中高6年間バスケ部でした)

だから他の漫画とは一線を画すほどの支持を得る事が出来たと考えられます。

 

以下、シーン5つを参考に予備動作効果を画像と共に解説していきます。

 

【シーン1】

予備動作として、流川のスクリーンアウトを描写してからの〜

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流川、リバウンド奪取! <井上 雄彦(著) SLAMDUNK 第5巻>

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【シーン2】

予備動作として、宮城のシュートフェイクを描写してからの〜

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花道、抜かれる! <井上 雄彦(著) SLAMDUNK 第7巻>

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【シーン3】

予備動作として、宮城がクロスオーバーステップを踏まされた描写からの〜

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宮城、抜かれる! <井上 雄彦(著) SLAMDUNK 第14巻>

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【シーン4】

予備動作として、仙道がクロスオーバーステップを踏まされた描写からの〜

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流川のストップジャンパー! <井上 雄彦(著) SLAMDUNK 第19巻>

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【シーン5】

予備動作として、沢北の目線のフェイクを描写してからの〜

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流川、抜かれる! <井上 雄彦(著) SLAMDUNK 第26巻>

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全部、秀逸!

 

全部、リアル!

 

 特に、ディフェンスがクロスオーバーステップを踏まされた描写をしてから抜かれるという流れが素晴らしい!

クロスオーバーステップとは右脚と左脚を交差させるフットワークの事。

クロスした後の一歩を加速できる反面、クロスの瞬間は隙だらけになってしまいます。

だからオフェンスはディフェンスにクロスオーバーステップを踏ませようとフェイクやチェンジオブペースなどを駆使するし、

ディフェンスはオフェンスの動作を予測してクロスオーバーステップを踏むまいと先の先を取ろうとするわけです。

 

なので基本的にはディフェンスがクロスオーバーステップを踏むのは、オフェンスにしてやられてしまった状況なわけです。

つまり、予備動作としてクロスオーバーステップを描写する事によって動作の躍動感だけでなく、キャラクター同士の駆け引きまで演出できているのです。

だからキャラクターが生きているかのように感じられる!

恐るべし!井上雄彦氏!天才です!

 

【予備動作は現実にも重要な要素】

 予備動作は漫画表現においてだけでなく、現実にも重要な要素です。

現実にバスケが上手い人ほど、予備動作を読み合い、偽の予備動作で騙し合い、予備動作を隠して戦います。

なのでレベルの高い人同士の戦いは、単純な身体能力の勝負だけでなく高度な心理戦でもあります。

沢北の目線のフェイクなんかは、むしろディフェンスが上手い人が相手じゃないと引っかからない。

他にも肩の位置、膝の位置、爪先の方向、首の角度、重心の高さ、呼吸などの予備動作をヒントに相手の次の動作を予測しながら駆け引きしているのです。

 

ここまで読んで、フットワークの重要性を理解して頂けたかと思います。

フットワークの種類が少ない人は、駆け引きの土俵にさえ上がれていないわけです。

これはバスケに限らず、全ての対人競技に共通して言える事です。

そして関連を想像しにくいかとは思いますが、フットワークの種類と質は美容や傷害予防にも関わっています。

これらを説明するには、やはり皆さんとの基礎知識の共有から進めなくてはなりません。

 

【本題】

 今回のメインテーマは『自覚性の原則 足部/足関節編』です。

「そもそも足趾の握り込みが全く出来ない」という方に向けて書いていきます。

これを読んだ後に以下の動画を見ながら練習してみましょう。

足部と足関節に関しては以前のコラムを読んで頂ければ概要を掴めると思いますが、自覚性の原則という言葉は初めて出てきましたので↓解説しましょう。

 

【自覚性の原則】

トレーニングには原理・原則があります。

何事もそうですが、トレーニングもガムシャラにやればいいってものではないんです。

自覚性の原則は、トレーニングの原理・原則の一つです。

自覚性の原則とは、鍛えている部位や動作ポイントを自覚する事によってトレーニング効果が向上するという原則。

ボディビルダーが自分の身体を見ながらトレーニングするのは、このためです。

ナルシストなわけではないので誤解しないように!

 

とは言っても、自覚性の原則は筋トレに馴染みがない人には伝わりにくいと思います。

なので、皆さん↓試してみましょう。

 

①まずは、ボーッとしながら腹筋運動を20回やってみましょう。

運動不足の人にとっては、それなりにキツイかもしれませんが出来ないレベルではないと思います。

②では今度は、両手でお腹を触りながら身体を起こす動作によって腹筋が固くなる事を自覚しながら、腹筋動作を20回やってみましょう。

ボーッとやるよりキツく感じたかと思いますし、何より腹筋にキツさが集中したかと思います。

 

この差が、自覚性の原則によるトレーニング効果の差です。

同じ時間で同じ回数やるのに、効果に差が出るのであれば自覚性の原則に則らない理由はないですよね。

このように自覚性の原則に則ってトレーニングする事によって、トレーニング効果が増すだけでなく、理想的な姿勢や動作を作る際の練習効率が格段に向上します。

 

これまでのコラムで書いてきた姿勢・動作の中で最も難しいのは、足趾の握り込みだと思います。

この足趾の握り込みを自覚性の原則に則って練習すると、とても捗りますので↓その方法を解説していきます。

「?」となったら、前回までのコラムを読んでみて下さい。

 

【動作の基本】

まずは動作の基本から。

■参考動画1

 

①全ての足趾を最大限まで伸展させつつ、足関節も最大限まで背屈させます。

②上記の状態を保ったまま、全ての足趾を最大限まで外転(←開く事ね)させます。

③足関節の背屈と全MP関節の伸展を保ったまま、全IP関節を屈曲させ、全足趾の先端を踵骨隆起に向かって握り込みます。

④脱力してお休み→①へ

これが足趾の握り込みの練習動作です。

 

それでは、自覚性の原則を活かして練習するために、どの局面でどの部位が働いているのかを↓解説していきます。

 

①の局面では、全ての足趾の伸展と足関節の背屈が必要です。

ここで働く筋肉は主に、長趾伸筋・長母趾伸筋・短趾伸筋・短母伸筋・前脛骨筋です。

身体の部位で言うと、足の甲や脛のあたりです。

これらの部位を手で触ったり、目で見ながら、動作を練習してみましょう。

■参考動画2

【練習ポイント】

足趾を伸展させると足の甲に腱がハッキリと浮かび上がり、足関節を背屈させると脛の筋肉が固く締るはずです。

これらの筋肉が働く事によって、この動作が生じる事を自覚しながら反復練習しましょう。

②の局面では、①の状態を保ったまま、全ての足趾の外転が必要です。

ここで働く筋肉は主に母趾外転筋・背側骨間筋・小趾外転筋で、①の筋肉も同時に働かせなければなりません。

身体の部位で言うと、母趾外転筋は母趾側の足部側面のあたり、背側骨間筋は足の甲の腱と腱の間のあたり、小趾外転筋は小趾側の足部側面のあたりです。

外反母趾ならびに内反小趾の方にとっては、この②が最難関。

逆に言うと、②が出来るようになる事が外反母趾・内反小趾の改善につながりますので頑張りましょう。

これらを触りながら動作練習したいのですが、母趾外転筋と小趾外転筋は探すのがちょっと難しいです。

しかも、外反母趾ならびに内反小趾の方は母趾外転筋または小趾外転筋の位置が変位してしまっている事が多々あるので、より難しくなります。

なので、手を使って足趾を強制的に外転させる所から始めましょう。

 

【筋群が固く締まる事を自覚できる重要性】

 このように本来あるべき位置に足趾を持ってくる事によって、理想動作を自覚しやすくなりますし、変位してしまっている筋群が元の位置に戻って触りやすくなります。

足趾の外転によって、これらの筋群が固く締まる事を自覚できるようになれば、爆発的に動作練習が捗ります。

③の局面では、足関節の背屈と全MP関節の伸展を保ったまま、全IP関節の屈曲が必要です。

ここで働く筋肉は主に長趾屈筋・長母趾屈筋・短趾屈筋・短母趾屈筋で、①②の筋肉も同時に働かせなければなりません。

身体の部位で言うと、足の裏や踝(くるぶし)と踵の間のあたりです。

扁平足の方にとっては、この③が最難関。

つまり、③が出来るようになる事が扁平足の改善に繋がりますので頑張りましょう。

③の動作をしようとすると、おそらくほとんどの人が足関節の背屈とMP関節の伸展が保てないと思われます。

なので、自覚性の原則を最大限に利用して反復練習に取り組みましょう。

 

 爪先が落ちてしまうのは前脛骨筋の働きが弱くなってしまうからなので、脛を触りながら練習です。

足趾が落ちてしまうのは足趾の伸筋群の働きが弱くなってしまうからなので、足の甲にハッキリと腱を浮かび上がらせながら練習です。

足趾の先端が踵骨隆起に向かないのは、足趾の外転筋群の働きが弱くなってしまうからなので、手を使って握り込みの方向を矯正しながら練習です。

このように自覚しながら練習すると、練習中に足がつる事が多くなると思います。

これはしっかりと筋肉が働いている兆候なのでOKです。

④の脱力してお休みの局面を挟みつつ反復練習しましょう。

1日に2〜3分だけでも構いませんので毎日やりましょう。

自覚しながら取り組めば、1ヶ月くらいで足趾の握り込みが出来るようになるはずです。

 

【足趾の握り込みは必須スキル】

 解説動画を見ながら、反復練習に努めましょう。

トレーニング目的がシェイプアップであろうと、腰痛や肩コリの改善であろうと、競技パフォーマンスアップであろうと、この足趾の握り込みは必須です。

運動連鎖トリガーを使いこなせるようになって、根本的な問題を解決しちゃいましょう!

 

 さあ、これまでのコラムで足部と足関節について解説してきました。

「順番的に次は膝だな!」と思ったかもしれませんが、次回テーマは『股関節の構造と機能』です。

「足部→足関節ときたら順番的には膝関節じゃないの?」と思うかもしれませんが、先に股関節を解説した方が効率が良いので、膝関節の解説は後に回します。

「なぜ足部→足関節→股関節の順番で解説するのか?」の疑問にもお答えします。

 

次回も乞うご期待!

 

(文:中村 知広)

 

 中村さんのコラムで疑問や何か知りたい事などがあれば、

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