【百本コラム】三本目:『足部の運動連鎖とトリガー』

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   筋肉バカドットコムを御覧の皆様!こんにちは!中村(なかむら)知広(ともひろ)です。

皆さんは『リベリオン』っていう映画を観た事ありますか?

 

 

2002年に公開された近未来SFガンアクション映画です。

ストーリーは以下の通り。

 

『第三次大戦後の世界。二度と戦争を引き起こさないように人々は人間性を過剰に抑制させられていた。

主人公は体制側に属しながらも徐々に人間性を取り戻し始め、反体制派と共に革命へと動き出す』

 

以上ッ!

 

陳腐でしょ~!?

 

まぁ、こーゆーパターンはアクション映画の王道ですからね。

 

 しかし陳腐なストーリーではありますが、「おぉッ!」とテンションが上がってしまうような斬新な設定が見所。

その設定とは〝ガン=カタ〟です。ガン=カタとは、主人公が所属する戦闘部隊にて採用されている戦闘術。

ガンとはGun、つまり銃の事。カタとは型、つまり武術の型の事。

東洋武術と科学の融合によって、瞬時に最適な戦闘パターンを選択しながら戦う事ができるのです。

 

 2丁拳銃でスタイリッシュに繰り広げられるアクションシーンは、何回も観返しちゃうほどカッコイイ!

無数の銃弾が飛び交う中、物陰に隠れたりせずにサクサク動いてバンバン倒していきますからね。

 僕が「おぉッ!」と思った理由は、ただ単純に「カッコイイから」という事だけではありません。

ガン=カタの設定が、物語の矛盾をも補完しているからです。

つまり「主人公にだけ敵の銃弾が当たらないのはオカシーだろ!」というアクション映画の宿命的ツッコミ所に対し、

「ガン=カタは戦闘データ統計に基き、瞬時に銃弾軌道を予測し戦闘を有利に進められる」というアンサーを出しているのです。

 

 今回も前置きが長くなりましたが、決して蛇足ではありません。

これは〝命名する〟という事が、どれほど重要であるかが表れている事例です。

もしガン=カタの命名が無かったとしたら、リベリオンは従来通りの陳腐なアクション映画にしかならなかったでしょう。

 

【本題】

 さぁ、本題に入ります。

前回までの基礎知識を基に、今回は僕の発想を解説していきます。

この発想を解説するに当たり、最初に概念に対する命名から始めます。

 

僕は、この概念を 『トリガー理論』 と命名しました。

 

 【トリガー理論】

 トリガーという単語の一般的な意味は〝銃の引き金〟であり、転じて〝物事を引き起こす切っ掛け〟の事をも指します。

ここで使われるトリガーの意味は、〝運動連鎖を引き起こす切っ掛け〟と考えて下さい。

それでは、抽象的な表現からトリガー理論の大まかなイメージをお伝えしていきます。

 

ドミノ倒しをイメージしてみて下さい。

 

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 ドミノが倒れて次のドミノに当たり、更に倒れて次のドミノに当たり、また倒れて次のドミノに当たり………

最初のドミノを誰かが倒してから最後のドミノが倒れるまで、この連鎖が続いていきます。

連鎖を生み出す切っ掛けがトリガーであり、この場合は最初のドミノがトリガーに該当します。

 

ドミノ倒しと同様に、人体における運動連鎖にもトリガーがあります。

 

今度は具体的な表現でトリガー理論をお伝えします。

 

…と言っても、前回までに皆さんと共有した基礎知識を基に解説しますので、「?」となったら読み返してみて下さい。

 

【解説】

 足部を例に挙げて解説していきます。

運動連鎖の土台となる足部には全身に多大な影響を及ぼすトリガーがあります。

それは足趾の握り込みです。足趾の握り込みについて、少し細かく解説します。

足部は、足根部と中足部と足趾部の三つに大別できます。

 

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(左 参考:身体運動の機能解剖 監修 栗山 節郎

 

 足趾の握り込みは、主に足趾部で生じる動作です。

 

①第一趾は二個の趾骨で構成され、第二趾から第五趾はそれぞれ三個の趾骨で構成されます。

②中足骨と基節骨で構成される関節をMP関節、基節骨と中節骨で構成される関節を近位IP関節、中節骨と末節骨で構成される関節を遠位IP関節と呼びます。

③第一趾は中節骨が無いので、基節骨と末節骨で構成される関節をIP関節と呼びます。

④足趾の握り込みは、全MP関節の伸展と全IP関節の屈曲によって起こります。

⑤足趾の握り込みによって、足趾の屈筋群の張力が増すとウィンドラス機構が働き、足部アーチが挙上して足部の剛性が高まります。

 

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(参考:図でわかる機能解剖Ⅲ 越智光夫

 このように、足部アーチの剛性が高まった状態で地面を蹴る事によって最大限に反力を利用できるようになります。

更に、衝撃吸収の際にも足部アーチの弾性を最大限に利用できるようになります。

 

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(参考:運動器機能解剖 著 Rene Cailliet 訳著 萩島 秀男

 

【今回のポイント】

・運動連鎖にもトリガーがある

 足趾の握り込みは、足部に運動連鎖の土台としての役割を担わせるためのトリガーであり、ここから全身へ運動連鎖が伝わっていくのです。

 

 

足趾の握り込みについては、もう少し細かく解説すべき事がありますが、今回はここまで。

続きはいずれ解説します。

 

ところで、「へぇ~。足趾の握り込みかぁ~。簡単そうじゃん。」と思ったアナタ!

実際は簡単じゃないんです。

〝全MP関節の伸展と全IP関節の屈曲〟ただそれだけの単純な動作が難しい。

僕の経験から言うと、過半数の人が足趾を握り込めない。

 

何故なのか?

 

次回は、その理由について解説していこうと思います。

次回テーマは『随意運動と不随意運動』です。

 

乞うご期待!

 

(文:中村 知広)

 

 中村さんのコラムで疑問や何か知りたい事などがあれば、

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