筋肉は太くなりながらスタミナも併せもつタイプへと変わっていく(速筋線維IIxから遅筋線維に近いIIaに移行)
■トレーニングによって筋肉のタイプはどう変わるか?
速筋線維のIIxは、持久的なトレーニングをすることで、より遅筋線維に近いIIaにシフトしていきます。(中略) その理由として考えられるのは、トレーニングの量です。パワー型のアスリートも、スプリンターも、勝つためには長時間のトレーニングをこなさなければなりません。
1回1回の動作は瞬発系ですが、何度も繰り返すということは、結果的に持久的能力も必要になります。また、ある程度のスタミナをつけておかないと、試合で勝ち抜くこともできません。ですから、筋肉の持久性は自然に高まるのだと考えられます。
“筋肉博士”こと石井直方先生(東京大学教授)が、速筋系、遅筋系に限らず、どんなトレーニングでも筋肉にはスタミナがつくという理論について解説している。たとえば速筋トレーニングである、ウェイトトレーニングにおいても、筋肉はやがて追い込むなどの長時間のトレーニング行えるようになる。
■トップアスリートはIIx(速筋線維)がゼロに近い
アメリカの研究報告では、投てき、パワー系の競技選手など、オリンピックレベルのトップアスリートの筋肉は持久的能力をもった遅筋線維に近い筋肉のタイプになっているとのことだ。
■筋線維がスタミナタイプへシフトするまでの時間は?
自分自身の現役時代を振り返ってみても、忙しくてトレーニングができない時期が1週間~10日ほどあると、再開したときに回数が上がらなくなるということがよくありました。決して軽かったバーベルが重くなるわけではなく、例えば5回上げられたバーベルが3回しか上げられなくなる。そういう経験をもっている人は多いのではないでしょうか。これは筋力の問題というより、筋線維のタイプが変わることで引き起こされる現象ではないかと思います。
トレーニングを開始してから、どのくらいの時間でIIx(速筋線維)がIIa(筋線維に近い)に移行するのかを調べた研究も紹介され、それによると、2週間くらいで筋肉のタイプ変化が起こるとされている。つまり、人間はスピードトレーニングを行っていたとしても、自然と、力、スピード、さらに持久力もあるというハイブリッドな状態へと成長するようだ。
(文・編集部)