筋肉アプリ物語 第1話 ~ 能力 ~
■第1話 ~ 能力 ~
サラリーマン風の客が現れる
客 「すいません、焼きそば一つ頼みたいんだけど」
「はい、焼きそばですね!
5,6分かかりますので、少々お待ちください」(これマニュアルどおりっと・・・)
僕の名前は藤沢歩渡(ふじさわあゆと)24歳
性別は男、職業はフリーター。
過去、営業の正社員であった時もあったが、それは1年半で辞めてしまった。
理由は仕事にやりがいを感じることができなかったからだ。
不要だと思える内容の業務が沢山あり、
それに何時間も費やしていた。
会社の命令、上司の命令に口答えはできない空気。
終電間際で帰ってきて、あとは寝るだけ。
毎日家と会社の往復の繰り返し。
多くの人が不要と内心思っている事を、
誰も文句言わず永遠と続けている気がした。
こんな事を、
僕もずっと毎日していかなくてはいけないのだろうか。
このままでいいのか・・・。。
そんな想いがしだいに膨らみ、
いつか何か大切なモノを失う気がして、正社員を辞めた。
しばらくお金に苦労してもいい、
誰かに喜ばれる、僕らしい生き方を手に入れたい。
職業はこだわらない。
もっと大切な部分にこだわりたい。
それがフリーターになった理由。
客 「5,6分かぁ、13時40分の電車に乗りたいから、それに間に合うかなぁ?」
13時40分
今から10分後か・・・焼きそば作って梱包して、会計して、乗車までか・・・
マニュアルに沿って5,6分って言ったけど、
実際は7分くらいかかるからなぁ。
マニュアルもひでぇもんだよったく。まぁ客逃したくない気持ちは分かるけど。
とにかく、チンタラやったら間に合わない。
客「腹減ってるから食べたいけど、乗り遅れられないから、厳しいなら諦めるよ」
藤沢「う~ん・・・。」
藤沢「たぶん、大丈夫だと思います、なるべく早く作ってお渡ししますよ^^」
客「お!じゃあ切符買ってまた戻ってくるからさ!よろしく!」
藤沢「はい」
うわっ、やべぇ、マジで急げ!
ジュージュー (焼きそばを作る)
自分、まだバイトだけど、
やっぱちゃんと売り上げ出していかないといけないしね、
お客さんもお腹空いてそうだし、この決断は我ながら良かった。
キャベツとかしっかり炒めないといけないけど、
少々短縮するのは、今回はやむ負えない。ヘラで押し付けて熱伝導率を上げる!
サラリーマンが切符売り場から帰ってくる
客「どう?焼きそばいけそう?時間もうあんまり無くて・・・(不安そうな顔)」
藤沢「お、お待たせしました!450円になります!」
客「良かった!ありがとう!^^」
タタタタ・・・(駅に走っていくサラリーマン)
ヌッ・・・(店長のおばさんが店の奥から出てくる)
ゲッ、顔がなんかこぇえ・・・・やな予感が・・・
店長「焼きそば、作ってたよね、あれ早すぎるよ」
藤沢「・・・はい」
店長「キャベツ、何分炒めた?」
藤沢「3分くらいです・・。」
店長「キャベツ、それじゃあ芯残ってるよねぇ、マニュアルは4分半ってなってるよね」
藤沢「は・・・・い。」
(超うぜぇ・・・)
店長「芯残ってるキャベツと残ってないキャベツ、どっちが美味しい?」
藤沢「芯・・・残ってない方です。」
時間を短縮せざるを得ない経緯を説明する気を失っていた、
完全に店長の高圧的な態度で、ストレスを感じてしまい、どうでもよくなってしまった。
なんとかさっさとこの時間が終わって欲しい。
そう思った。
店長「焼きそばの作り方、前にちゃんと教えたよねぇ!」
藤沢「はい・・・。(もはや白目)」
店長「・・・。」
店長「この際、はっきり言うけど、君に時給680円は高すぎる」
(もうお前はクビだよ、クビ!仕事なめんな!)
藤沢「(なッ!!)」
どうして、こうなった、
まってくれ、僕は焼きそばを売った、5分で450円の売り上げを確保した。
僕が経緯をちゃんと説明しないのが原因ってことなのか、
しかしそもそも一方的な状況判断はおかしいって気づかないのか?
結果だって出していたはず、
バイトだが、それなりに売っていた。
客も喜んでいた、しかし今、僕は店長に怒られている。
・・・どんなに全力で働いても、時給680円以下の評価。
能力不足の評価。。
訳がもう、分からない。。
や・・・やる気を失った・・・・。
店長「こまるんだよねぇ、ちゃんとマニュアル通りにやってもらわないと。」
藤沢「・・・。」
店長「お客のニーズとかさ、そういうの分かる?ったく。高いなぁ君に時給680円は。能力低すぎ」
藤沢「・・・。」
その日のバイトを終え、
本日付けで辞める事を店長に告げる事にした・・・
藤沢「あの・・・今までお世話になりまし・・・」
店長「はい、どーも、お疲れさん(目を合わせず)」
ぐごごごごご・・・・
つづく