【バランスの強化】渡辺俊介「(体重)移動する時間とかスピードを変えることはできる」

渡辺俊介が明かす超・打ちにくいワケ! 超学術的スポーツラボ NANDA!?

渡辺 俊介(わたなべ しゅんすけ)

生年月日 1976年8月27日(38歳)

身長 177 cm 体重  70 kg

世界一低いと言われるアンダースローが特徴であり、通称は「ミスターサブマリン」。

   現在、アメリカの独立リーグでプレーしメジャー球団からのオファーを狙っている渡辺 ですが、千葉ロッテ時代に出演しているテレビ番組の中で、自らの投手としての打ちにくさの秘密や、トレーニング方法について語っていたのでご紹介したいと思います。

 

 001289 - 【バランスの強化】渡辺俊介「(体重)移動する時間とかスピードを変えることはできる」

■球速は130キロ前後、でも打ちにくい

  上手投げ(オーバー又はスリークオーターなど)が出す速度よりも、打者にとって速く感じるアンダースローという特殊なフォームを使う貴重な投手。キレのある130キロ前後であれば、打者の体感速度は上手投げから来る150キロに近いと一般的には言われています。その理由はボールが浮き上がってくる物理的な軌道が特殊で、打者からの視界の違いがあるからと言われています。

 

■投球モーションに入る直前、フォームのスピードを決める

  ストレートや変化球のキレ、そして打ちにくい場所へと投げるコントロールを磨くことが全ての投手にとって必須基礎能力なのですが、渡辺はさらにフォームにより打者タイミングをずらしより打ちにくくする事が可能とのこと。一見、他の投手も使っている技術では?と思えますが、これはアンダースローが故に大きな違いが生まれています。また投球モーションに入る直前に、そのスピードを決めると語っていますが、実際には投球モーションに入りながらも変えたり決めていく。という事も渡辺の驚異的なバランス力とアンダースローの特殊性からも可能だと思われます。

 

■アンダースローのずらしに対応する難しさ

002117 - 【バランスの強化】渡辺俊介「(体重)移動する時間とかスピードを変えることはできる」

  クイックという投げる全体時間を短くする事や、キャッチャーとサインを決めてから実際に投げはじめるまでのタイミングを意図的に変えるなどの投手技術は一般的です。しかしそれらは、身体全体のスピードやスタート時を変える方法であり、打者にとっては気づいてから合わせる事がある程度可能です。

しかし、アンダースローの場合はその変化に気づくこと、また対応する事の難易度が上がります、理由は、投球フォームの中盤からタイミングや全体時間を変化させられるためなのです。

動画を見ると良く分かりますが、プレートに踏み出してからのフォームの序盤はまったく同じなのに途中から身体が沈むタイミングが変化しています。つまりその事に打者が気づくのは、上手投げよりもかなり遅くなりますし、序盤同じように投げ始めても、今回は途中から変化させてくるのではと常に緊張します。この動揺がまたタイミングをずらしやすくします。そして実際に予想とはちがうフォームスピードに変化させられたと打者が気づくとき、ボールが実際に手元から離れるまでの時間も上手投げより短くなるために、打者が自らの動きを修正し合わせ直す時間が短く難しいのです。

 

■上手投げも同じ事すればいいのに、なぜしないの?

 上手投げも同じように、フォームの中盤からタイミングをずらせば良いと思うかもしれませんが、これは身体のバランス能力(疲労してても数ミリレベルの調整ができる)がずば抜けていることが前提であることと、コントロールが命であり高いバランス力が求められるアンダースローではない為、技術の習得も難しい事。(バランス力が多少低くくても速くて凄い球が投げられるのが上手投げの良い部分)

そもそも体重移動のさせ方が物理的にアンダースローとは大きく違うため、フォームスピードを途中から変えるという事を行った際に、球のキレを同じに保つ事がアンダースローよりもおそらく難しいです。

この上手投げが習得しにくい技術”フォームの中盤からのずらし”により、アンダースローの打ちにくさ、希少性をより高めています。

 

■バランスディスクで片足でスクワットし、バランス力を高める

 とはいえ、このフォームスピードの違いを生み出すのは、いくらアンダースローでも並大抵の技術ではありません。では、その習得過程としてどのようにバランス力を鍛えているのでしょうか。渡辺はトレーニング方法についてバランスディスクという器具の上で、スクワットを繰り返す方法を話しています。スクワットを片足づつ行うことで、バランス力が極めて向上し、スピードを変化させる技術習得が徐々にできたそうです。トレーニング方法や得られる技術効果について、超一流の投球術をもつ横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)の三浦投手も、とても興味深くコメントをしています。

渡辺投手のトレーニング方法、バランス力を鍛える時には参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 (文・編集部)

 

このサイトをフォローする!