【PTSDの苦悩】映画『アメリカン・スナイパー』最も強い狙撃手と呼ばれた男、クリス・カイルの人生
■映画『アメリカン・スナイパー』特別動画
アメリカ軍で最も強い狙撃手と呼ばれた、クリス・カイルの自叙伝を実写化したドラマ。アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズ所属のスナイパーであった彼が、イラク戦争で数々の戦果を挙げながらも心に傷を負っていくさまを見つめる。メガホンを取るのは、『ミリオンダラー・ベイビー』などのクリント・イーストウッド。
戦争の残酷さは多くの作品で伝えられていますが、戦争から帰って来た後、兵士を辞めたあとの悲しい現実にフォーカスした作品を観たことはありますでしょうか?
■自殺が絶えない米復員軍人
この現実を見よ! 戦争から戻っても自殺が絶えない米復員軍人
1日22人が自殺している―。 11月11日の米ベテランズデー(復員軍人の日)に合わせて、反戦イラク帰還兵の会が発表した復員軍人における自殺者数である。
(中略)
22人という数字は過去2カ月の平均で、単純に計算すると1年に約8000人が自ら命を絶っていることになる。アフガニスタンとイラク両国で戦死した米兵は過去13年で約6800人なので、これと比べると、どれほど多くの若者が自殺しているかがわかる。
(http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141117/273933/?rt=nocnt)
米帰還兵は1年に約8000人が自ら命を絶っているという、過酷な現実が存在しています。
原因として言われているのが、戦場での強烈な恐怖、苦痛などの経験によって、PTSDという精神の病気を兵士が発症させてしまう事による、社会復帰への困難さだと言われています。
【誰にでもなりうる可能性がある心の病気PTSD】
PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、こころのダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものです。震災などの自然災害、火事、事故、暴力や犯罪被害などが原因になるといわれています。
突然、怖い体験を思い出す、不安や緊張が続く、めまいや頭痛がある、眠れないといった症状が出てきます。とてもつらい体験によって、誰でも眠れなくなったり食欲がなくなったりするものですが、それが何カ月も続くときは、PTSDの可能性があります。
このPTSDは一般生活をしている人でも、起こり得るものであり、決して他人事ではない精神の病気なのです。
そして心の強い人や屈強な男性にありがちな、辛く悲しい体験を、たった1人(自分だけ)で解決しようとした結果、その後PTSDに悩まされている例はたくさんあるとのこと。
■クリス・カイルは作品の製作中に亡くなっている
アカデミー賞候補の映画『アメリカン・スナイパー』、クリス・カイルの子供に対する脚本家の配慮とは
2月21日(土)より日本でも公開となった、オスカー監督クリント・イーストウッドと人気俳優のブラッドリー・クーパーがタッグを組んだ映画『アメリカン・スナイパー』。米軍最強と言われた伝説の狙撃手クリス・カイルの栄光と苦悩を描いた本作で、脚本家がクリスの二人の子供に配慮をし、結末のある部分を排除したとコメントしている。(引用:http://dramanavi.net/news/2015/02/post-3469.php)
クリス・カイルは自身の苦悩や経験から、PTSDに悩む帰還兵や退役兵のためのNPO団体「FITCO Cares Foundation」を設立し、社会復帰に向けた支援活動に取り組んでいたのですが、映画の製作途中に事件が起き、クリス・カイルは亡くなり、衝撃的なニュースとしてアメリカで伝えられました。
当時、二人の子供の父であり38歳という若さでした。
この作品のメガホンをとったのは、クリント・イーストウッド監督。
「戦争が人に与えるダメージを伝えたい」と特別動画内のインタビューで語っています。
現実という困難に立ち向かう男ならば『アメリカン・スナイパー』、是非とも観ておきたい作品の1つではないでしょうか。
(文・編集部)
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