筋肉アプリ物語 プロローグ
生命というものは常に進化を繰返してきた
動物の種であれば、 キリンは高い葉を食べるために首を長くさせ高めてきた種で、
ライオンは獲物を獲るために鋭い牙を得て狩る力を高めた種
カメであれば、甲羅という守備力を高めてきた種であり、
鳥であれば、翼を得て飛行力を高めてきた種である
それぞれが生き延びる為に、何かしらの能力を持ち、高めてきた
なぜならば、「弱肉強食」の世界で生き抜くためには、
何かしらの能力を、 生き延びれるほどまでに成長させていくしかないからだ
生き残る為に必要な 己の必須能力 これは、何万年も繰り返されてきた生命の歴史。
高度に発達した人間社会でも 弱肉強食は変わらなかった
そして何かしらの能力を成長させたものが 高い確率で幸せを得るという生命の法則は存在する
だから人間はその時代の中で精一杯努力している しかし現代社会に生きる多くの人間たちは、
能力を高め続けても苦しんでいた
なぜだ・・・
「よりイイ学歴」 「よりイイ就職」 「よりイイ恋人」 「よりイイ物」
必死に得たはずなのに、
その時に得た幸せはいつの間にか消えていた
いつしか、夢も希望も失い、力尽き、無気力になっていることに気づく
きっと何かが間違っていた きっと何か、大切な何かが
それらを見つけ、取り戻さなくていけない
「人生は1度きりである」
果たしてまだ間に合うのだろうか、
そして、世の中にはまだそれはあるのだろうか・・・
多くの人がそんな疑問を感じ始めていた
だが、それを阻止するもの
現実社会の見えない所で
その疑問と取り戻す力、可能性を失わせようとする存在が生まれていた
魔界の王 「デバグ」
デバグは人間が「筋肉」を失えば何もできないことを知っていた
そして人間はその見えない魔界という世界の存在によって、
徐々に筋肉を抹殺、支配される。
あらゆる希望を失っていく人間たち 魔界とは人間の誰もが見る事はできなく、気づくことさえも決してできない
魔界とは一体何なのか
それは悲しいことに、
文明の発展とともに、高度に発達した現代社会が生みだした闇の世界なのである
良い悪いに関わらず、
この世には、まだ気づかない、気付けないもの 解明されていないものが沢山存在し、生まれては消えていく・・・・。
国籍、民族、性別、年齢にとらわれない
人間である彼らも、その中の1つなのかもしれない
それは、 「筋肉対話種族」
筋肉対話種族は
自らの筋肉と話せるという極めて特殊な能力をもつ
人間界の絶滅危惧種
そして残念ながら あまりにも特殊であるが故に その能力は誰かに気づかれることもなく、
現代社会での評価も、一切無い
しかし筋肉と話せるその特殊な人間、筋肉対話種族だけが、
「人間界」 「筋肉界」 「魔界」
この3つが存在し複雑に絡み合い、大きな問題が起こっている事を知っていた
「もしも、僕らが魔族を倒すことができれば、 現代社会の人間は大切な何かを見つけ、きっと取り戻せると思うんだ・・・」
誰かが小さな声でつぶやく・・・
ある日 高度に発達した現代社会が 1つのアプリを生み出す
その名は
「筋肉アプリ」
この道具の登場によって、 小さな物語が静かに動き始めたのである