このエントリーをはてなブックマークに追加 2014年4月23日 | スポーツ, タイムライン, 阿左美賢治 |

【合法ドーピング】米国のアスレチック・コミッションでテストステロン補充療法が禁止!? 果たして格闘技界への波紋は!?

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 アメリカの各州にあるアスレチック・コミッション。

これはボクシング・キックボクシング・総合格闘技・プロレスなどの徒手格闘技の競技を統括する組織で、

ここの認可を受けなければ、団体は興行を行うことはできない。

検査項目はステロイドなどのドーピングや、レフェリーの資格に至るまで多岐にわたり、

これらのスポーツにおいて日本とは比べ物にならないほどの公平性を生み出していると言われるが、

そのアスレチック・コミッションの一つが下した決断で、格闘技界は大いに揺れているという。

 

 2月27日、ラスベガスを擁する格闘技の聖地、ネバダ州のアスレチック・コミッションが、

テストステロン補充療法の禁止を発表した。このテストステロンという物質は男性ホルモンの一種であり、

摂取すると筋肉の増強やスタミナ増強、打たれ強さのアップなどが図れると言われている物質。

当然、もともと全部の州で禁止薬物ではあったが、このテストステロンが体内で十分に作り出せない性腺機能低下症の患者に対して、それを補充する療法に使われている分に関しては認可されていた。

 

「もともと、これに関しては『合法ドーピングじゃないか』と選手をはじめとした関係者の間で批判が多かったんですよ。

何より、テストステロン補充療法を受けるほどに性腺機能が低下する大きな理由の一つに、ステロイドの使用があるというのがネックでしたね。

過去にドーピングを行い、ステロイドを使用していたファイターが、この治療法と言う名を借りた合法ドーピングを受けやすい環境にある。これはアンフェアだ、という主張が根強かったんです」

(格闘技ライター・T氏)

 

 そんなテストステロン補充療法は近年、多くのアスリートたちが使用していたが、特に総合格闘技界での使用率が高かった。

今や名実ともに世界最高の総合格闘技団体となったUFCにおいても、ライトヘビー級チャンピオンで、

かつてPRIDEでも人気選手であったクイントン・ランペイジ・ジャクソンや、同じくPRIDEの中心選手で現ライトヘビー級トップランカーであるダン・ヘンダーソン、毒舌が有名なミドル級・ライトヘビー級の人気選手チェール・ソネンなど、

名だたる選手たちがこぞってこの〝合法ドーピング〟の認可を受けていたのである。

そのため、このネバダ州の決定に沿い、

UFCは5月24日にラスベガスのグランド・ガーテン・アリーナで行われるUFC173のメインカードの内容を変更。

ミドル級の王者であるクリス・ワイドマンへの挑戦者を、

テストステロン補充療法のユーザーであるヴィトー・ベウフォートからリョート・マチダにするなど、対応に追われることとなった。

 

 この事に対し、選手や関係者の反応は様々だ。

まずUFCの社長であるダナ・ホワイトはSNSのツイッター上で

「UFCは、この決定を全面的に支持する。選手たちは本来の能力でフェアに戦うべきだ」と賛同し、

今後は、ネバダ州以外の大会でもテストステロン補充療法を禁止する事を示唆した。

UFCミドル級の中心選手であるティム・ケネディも同じくツイッター上で

「このスポーツにとって素晴らしい日」と述べ、決定を歓迎すると発表。

しかし、UFCウェルター級の選手であるジェイソン・ハイは「沢山の人が『何でこんなに疲れるんだ』とヘコむ事になるだろう」と発言するなど、反対意見も根強くある。

確かに、合法ドーピングとして行っていた選手はとにかく、そういった意図がなかったとしても成人男性の2%は性腺機能低下症を患っていると言われており、今後はそうした選手はハンデを背負う事になるのは明白だろう。

 

「とは言え、本来そういった症状を持っている人が闘うべきではない、という意見も多いですからね。

今後はネバダ州に追従する事を発表したカリフォルニア州のように、他の多くの州でもテストステロンは禁止になるでしょう。

その影響として考えられるのは、ベテラン選手が長くトップ戦線に君臨するケースが減るということです。

例えばダン・ヘンダーソンが43歳になってもトップランカーでいられるのはこの治療を行っていたからだと言われていますが、禁止された後もパフォーマンスを今のレベルで保てるかわからない。

個人的には、彼はとても好きな選手なのでそうあって欲しいと願っていますが。まあ、良くも悪くも業界の新陳代謝が活発になるのはないでしょうか」

(前出・T氏)

 

 格闘技の一ファンとしては、ベテラン選手が意地を見せる姿というのも一つの醍醐味のような気はするが、

やはり相手を傷つけるのが目的となるこのスポーツにおいてはこれぐらいタイトにルールを設定する事も重要なのだろう。

いずれにせよ、今後はより厳格な縛りの中で、選手たちが闘わなくてはいけなくなった事だけは確かなようだ。

 

(文:阿左美賢治)

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