【体験レポ】競技未経験者が試合観戦を楽しむふたつの秘訣、第91回三菱全日本テニス選手権大会(東京有明コロシアム)

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[女子シングルス決勝]
〇大前綾希子(島津製作所)6-4,6-4 ●今西美晴(島津製作所)

■全日本ジュニアなどのタイトルを取ってきた23歳は、格別な優勝が決まるとコートにしゃがみ込んで泣いた。「ここまで来るのにいっぱい迷惑を掛けたので、ちょっとだけ恩返しができたと思って…」。コーチやトレーナー、両親や親友も見守った。昨年、骨折で戦列を離れた辛い時期にも励まし合ったのが、この日の試合相手。悔し涙を流していた今西とネットをはさんで、しっかりと抱き合った。

(引用:http://www.jta-tennis.or.jp/alljapan/tabid/434/Default.aspx?itemid=440&dispmid=1797 )

 

 今回、第91回三菱全日本テニス選手権大会(東京有明コロシアム)というテニスの試合を生で観戦してきた。筆者はテニス競技の未経験者であり、当然テニスのルールや戦術も良く分かっていないのだが、この大会を観戦する中で、偶然『競技未経験者が試合観戦を楽しむ秘訣』に気づくことになったのでお伝えしたい。

 

■試合観戦の協力者、宮地 一道さん

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 今回、テニスの試合観戦に当たって、プロの方に協力していただいた。テニスのプロコーチ、宮地一道さんだ。宮地さんはキッズ、初心者からトッププロ選手まで年間2000人以上の指導をしているプロのコーチである。テニス競技の未経験者である筆者のために、共に観戦してくれることになった。

 

■会場ルール:選手のプレー中はその場で静止しなくてはならない

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 テニス観戦をはじめる前の段階で、驚く体験をする事になった。いざ競技場に入りベンチに向かおうとした時、入り口で大勢の人が立ち止まっており、入れなかったのだ。皆が静かに静止しており、コート内の音や人の合間から見える様子から、選手がプレーをしている事も分かった。

 

 入り口の後ろの方にいる人は当然、選手のプレーを見ることができない状態なのだが、この入れない理由を宮地さんに訊いたところ、「観戦者は、選手がプレーしている間は選手がプレーに集中するためにその場で止まらなくてはいけない、というルールがある」のだという。テニス競技観戦において、選手と観戦者によるこのクラシックな一体感は初めての経験であり斬新だった。

 

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 そしていよいよ席に着き、生で試合観戦。目の前で行われていたのは、女子シングルス決勝、大前綾希子選手(島津製作所) vs 今西美晴選手(島津製作所)。宮地さんの情報によれば、二人はジュニア時代から切磋琢磨してきたのだという。戦っている選手の表情なども分かるほど観客席とコートの距離が近く、決勝ということもあり、会場全体から緊迫感を感じことになる。

 

■優勝は大前綾希子選手、共に涙を流すほどの熱戦

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(左:今西美晴選手 右:大前綾希子選手)

 試合は大前綾希子選手が勝利し優勝を決めた。この試合は大前綾希子選手、敗れた今西美晴選手共に、コート上で涙を流すほどの熱戦であった。

 

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 この試合が決着するまでの間、宮地さんはジュニア時代から戦ってきた両選手のヒストリー、試合の展開が変わった瞬間、上手いプレー、リスクをとる動きなどを教えてくれた。そのことにより、テニスの技術、戦術的なことが分からなくても、試合全体の変化や状況、選手の心理などを素人ながら多少想像できるようになり、観戦を確実に楽しめるようになっていた。

 

 しかし、この時体験していたのはまだ「なんとなくの楽しさ」であった。つまり、決勝という場でのテニス選手の熱さを目の前にしつつも、競技中の戦いの面での面白さには、ほとんど気づけていない状況だった。なぜそんなことが分かったのかというと、次の試合を観戦した際、宮地さんのある解説をきっかけに、楽しさの向上飛躍の変化をはっきりと意識することになったからである。

 

男子の準決勝、内山靖崇(北日本物産)vs 関口周一(Team REC)

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(内山靖崇選手)

■関口周一が果敢に攻めるも、内山靖崇が2年連続決勝進出を決める

「お互い、手の内は分かっている」と両者は口をそろえる。関口はチャンスと見ると果敢にネットに詰める。サービスダッシュも試みる。サーブのスピード、パワーで劣る分を補うべく、積極的に仕掛けていった。

(引用:http://www.jta-tennis.or.jp/alljapan/tabid/434/Default.aspx?itemid=439&dispmid=1797 )

 

 183cmの内山靖崇選手と、169cmの関口周一選手。両者の体格の違いは一目で分かるのだが、宮地さんによりそれぞれのプレースタイル、強みを教えてもらうと俄然観戦が面白くなる。

 

■オフェンスの内山、ディフェンスの関口という戦い

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宮地さんは言う。「内山選手は昔からボレー、サーブの技術が高く、上手いです。オフェンスタイプの選手。一方、関口選手は足の運び(ステップや切り替えし)が細かく正確です。左右にゆさぶっていくようなディフェンスタイプですね」

その言葉を元に、コートに目をやり選手を見る。

 

本当だ・・・・。

 

■選手のプレーの強みを知ることで、俄然面白くなった

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 オフェンスの内山、ディフェンスの関口。この瞬間、両選手のプレーの見方が一気に変わることになった。内山選手のサーブ、ボレーの動きに注目、そしてまた、関口選手の足の運び、体の切り替えし力に注目し楽しめるようになっていた。

 この体験から、競技未経験者でも試合観戦を楽しめる秘訣はふたつあることが分かった。ひとつ目はその競技のルールや試合の流れのポイントが分かる人と一緒に観戦すること。選手のヒストリーや面白ポイントなど話題が尽きない。そしてもうひとつは、それぞれの選手の強みを最初に把握することだ。観ながら選手の強みを判断するというのは素人では難易度が高く、楽しむ事はまず不可能になり、試合も終わってしまうだろう。

 

・その競技のルールや試合の流れのポイントが分かる人と一緒に観戦すること

・それぞれの選手のプレー、強みを最初に把握すること

 

 この日このふたつが揃ったことにより、はじめてのテニス試合観戦を楽しむ事ができ、そして、このふたつの要素が競技未経験者が試合観戦を楽しむために必要なのだと明確に気づく事ができた。観戦デビューに協力していただいた宮地さんに感謝したい。

 

(文・写真: 取材班)

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